<中日0-2広島>◇25日◇ナゴヤドーム

 中日が07年の制度発足から6年連続出場してきたCSを逃した。3位広島との直接対決で連敗し、12年ぶりのBクラスが確定。7回1死満塁の好機を逃すと、8回に浅尾が2日連続で打たれて0封負け。ふがいない今季を象徴する終戦に、高木守道監督(72)は「力不足。情けない。残念無念」と肩を落とした。強竜が弱竜になった敗因はどこにあったのか。検証を含めて総括した。

 最後は山崎が力ない遊飛に倒れ、守道竜は終戦を迎えた。12年ぶりのBクラス。6年連続で出場してきたCSを初めて逃した。しかもナゴヤドームでの屈辱。7回1死満塁の好機を逃すと、8回に浅尾が2日連続痛打を浴びての0封負け。「終わったか…」。ついに訪れたこの瞬間に、竜の将も懸命に言葉をつないだ。

 高木監督

 強いドラゴンズの流れを絶たないようにとやってきたけど、やることなすことうまくいかなかった。私の力不足。情けない…。残念無念ですよ。その一言に尽きる。でも、自分のやったことですから。

 昨年貯金22を作ったチームが低迷した一番の要因は故障者の続出だろう。特にエース吉見が1勝しかできなかったことは誤算だった。浅尾も7月まで出遅れ、10勝右腕の山内も離脱。野手では首位打者の4番ルナが消え、大島やアライバらもけがで成績を落とした。大きな故障がなかった主力は数えるほどで、最後までベスト布陣で戦えず。つい先日も中田賢が離脱するなど、これで勝てという方が無理と感じるほど1年間けが人が出続けた。トレーニング、トレーナー部門の見直しは大きな課題だ。

 世代交代もうまく進まなかった。落合監督時代に4度のリーグ優勝を支えた主力は30歳代後半~40歳代。衰えは隠せず、多くが成績下降しているが、代替選手が出てこなかった。定位置を獲得したのは高橋周ぐらい。選手の資質に問題があるのか、指導者が悪いのか。ドラ1福谷を含め、今季新人で活躍した選手は0。来季指揮を執る新監督にまで大きな宿題を残した。

 瞬間湯沸かし器の異名を持つ、高木監督をサポートする知恵袋不在も痛かった。昨年は権藤投手コーチが70歳代バトルを演じて何とか回った。だが今年はひらめき型の監督の独走状態。若い井上打撃、今中投手の両コーチがモノ言う数少ない参謀だったが歯止めは効かず。疑問采配の連続でベテラン選手との間にも溝ができていった。監督が聞く耳を持ち、選手との間にも入れる「ヘッドコーチ」がいれば、違った結果が出ていたのではないか。

 フロントも支援できなかった。特に緊縮財政が響き、補強面で十分な戦力を与えられなかった。前年は巨人に10・5差もつけられた2位で、本来ならV奪回へ補強は不可欠。しかもブランコ、ソト、ソーサと4番、先発、セットアッパーが流失した。だが獲得した代役は、実力未知数の助っ人ばかり。ルナは奇跡的に当たったが、戦力ダウンとなった。FAでもOB福留らの獲得に積極参戦できず、結局新戦力は助っ人と新人だけ。主力の衰えも目立つ中、弱い戦力を監督に丸投げした形となった。

 強竜から弱竜への転落。それは高木監督1人の責任ではない。球団、監督、選手が一体になって強いチームを目指さないと、来季も同じことを繰り返す。【中日担当キャップ松井清員】