<阪神4-6DeNA>◇26日◇甲子園

 救援陣が崩れて逆転負けし、阪神西岡剛内野手(29)の表情は険しいままだった。クラブハウスに戻る直前。価値ある一撃も色あせる敗北に、徒労感だけが募った。「結果的にホームランになったけど、その後の打席が。その後ですね。負けていますから。また、頑張ります」。わずかに話したきり、ロッカーへ。悔しさを隠さなかった。

 勝ち運を引き寄せようと必死だった。同点の3回、先頭打者の西岡が目の覚める1発をお見舞いした。カウント2-2からの6球目だ。ソトの内寄り直球を引っ張ると、白球は左翼席に飛び込む。7月10日中日戦(沖縄セルラー那覇)以来、出場41試合ぶりの今季4号勝ち越しソロ弾。おなじみのグラティポーズを決めた後、関本の姿を見つけると、思わず抱きついた。

 一塁側ベンチに座っても興奮は収まらない。コメントを求める球団広報に明かす。隣にいた関本に聞こえるように「昨日、いい当たりだったのに正面ばかりに飛んでいたので、関本さんが『俺のバット使ったら、ヒットになるんとちゃうか?』と言ってくださって、そのバットでホームランを打つことができました。関本さんのバットなのに(今季0本塁打の)関本さんより早くにホームランを打ってしまい、関本さんに申し訳ないです」と話した。

 長年、バットの重量やサイズを変えていない。微妙な感覚にこだわるが、この日は“気分転換”した。第1打席から関本の白木バットを使用。2度目の挑戦で最高の結果を残した。6試合連続安打で、9月は81打数29安打、打率3割5分8厘の暴れっぷり。月間MVPも射程圏内だ。2位を死守。CSファーストステージで広島撃破。そして、その先には「打倒巨人」の大目標がある。闘志が衰えることなど断じてない。【酒井俊作】