<ヤクルト3-6DeNA>◇9月30日◇神宮
ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が、日本記録を更新する59号ソロを放った。2点リードの3回裏2死から左翼スタンドへ10試合ぶりとなる1発。この時点で128打点と、DeNAブランコに1点差と迫った。だが、その後にブランコが2本塁打で5打点を挙げたため差を広げられた。ただ、ヤクルトが3試合多く残すだけに、まだ挽回は可能。バレンティンの3冠獲得への道から目が離せない。
両手を両膝に置いたまま、レフトのバレンティンは微動だにしなかった。7回。マウンドの村中が、DeNAブランコに2打席連続の40号2ランを打たれた瞬間だ。右翼スタンドに飛び込む打球を、見ようともしない。5回には逆転3ランを打たれたばかり。バレンティンの3冠王ロードに、大きな壁となる5打点だった。
ちょっと前は、ご機嫌だった。3回2死走者なし。初球のカーブを捉えきった。打った瞬間に本塁打と分かる当たり。10試合、39打席ぶりの感触に、すっかりドヤ顔。「久しぶりにバットの芯で捉えることができた。完璧です」。試合中に広報を通じ、コメントを出した。ただし、試合後はほとんど無言。報道陣を振り切り、速足でクラブハウスに駆け込んだ。
60号の大台にリーチをかける1発は、進化の結晶ともいえる。第1打席は1回2死一塁。外角高めの初球カーブを、強引に引っ張った。これぞ大振りというスイングでは、三塁ゴロが精いっぱい。反省と修正の結果が、2打席目の本塁打だった。バレンティンは言う。「日本に来て、とても変わったと思う。毎回ゲームに出させてもらっているのが一番の違い。米国では毎回は出られなかった。シーズン中に500~600も打席に立てることで違いが出ている」。日本球界3年間で学んだ対応力だ。
59号を放った時点で打点は1差に迫ったが、あっという間に6差に開いた。逆に打率は2厘差と肉薄された。3冠王どころか、首位打者も怪しくなってきた。主砲に待望の1本が出たが、ライバルに2発を浴びてはいただけない。小川監督は「バレンティンのためにやっているわけじゃないけど、勝つためにブランコを抑えないと。あの3ランで(ムードが)白けてしまった」と村中の浴びた2発のアーチを嘆いた。
救いはある。残り試合はヤクルト6試合で、DeNAは3試合。小川監督は「今日、一気に開いちゃったけど、まだ可能性は残っている。何とか頑張ってほしい」と親心を漏らした。元来「固め打ち」を得意技としているバレンティンなら、巻き返しは十分ありうる。【金子航】



