<日本ハム1-7オリックス>◇2日◇札幌ドーム

 佑ちゃんが復活への第1歩をしるした。右肩関節唇損傷からカムバックを目指す日本ハム斎藤佑樹投手(25)が登板。昨年10月5日楽天戦以来362日ぶりの1軍先発は6四死球と制球が定まらず、5回途中5安打6失点で降板した。厳しい結果となったが、1回の初球に今季最速タイの141キロをマークするなど、来季の先発ローテ復帰へアピールした。

 今の100%は出し切った。斎藤は5回途中6失点の内容に「もう、そのまんまだと思う。今の僕の状態が、今回だと思う」と言い切った。右肩関節唇損傷という大きな故障を乗り越え、362日ぶりの1軍での先発。結果を真正面から受けとめ、少しだけ感傷に浸った。「正直、今年は(1軍で)投げられないと思っていた。投げさせてもらったのは、ありがたいです」。素直な心境だった。

 2月の春季キャンプ。塁間も満足に投げられない斎藤がいた。本当に、また1軍のマウンドに戻れるのか-。折れそうな心を支えたのは、新任の中垣トレーニングコーチだった。出会った瞬間、心を奪われた。「最初の入りで、すごい天才的な話し方をしてくれた」。投球フォームについて、特徴的だった、踏み出す左足が突っ張ることに対する意見だった。

 「理論としては間違ってないと。ただ、そのぶつかりどころが、もっとキャッチャーに近い所でぶつかれたら良いよねって」。プロ入り後、いろんな人からアドバイスされた点。その多くが、否定的な声だった。「その否定から入ってくれなかったので、すごく僕もスッと入りやすかったですね」。キャンプでは約5メートル先のネットへボールを投げ続けた。「中垣さんと出会って、迷いがなくなりましたね」。新たな投球フォームを身につけるための地味で単調な練習も黙々と続けられた。もちろん、この日の試合前も行った。

 投球練習の再開は5月だった。6月下旬に2軍で実戦復帰したが、思うようには進まなかった。打ち込まれる日もあった。先が見えない不安から救ってくれたのは、心温まるファンレターだった。「1日に5、6通さっと届いたんですけど、たぶん家族で送ってきてくれた」。

 はがきに記された住所はすべて一緒。ある家族が1人1枚ずつ、斎藤へのエールを書いて郵送したものだった。「みんな、応援してますって書いてくれて。久しぶりに、ありがたさを感じた」。2軍の千葉・鎌ケ谷を訪れるファンからも、励ましの声は多かった。戦いの場から一時的に離れたことで、純粋に周囲の期待を自身の復活へのエネルギーに転換できた。

 マウンドを降りる斎藤に、ファンは拍手を送った。「ここまで、来られると思わなかった」。ベンチへ腰を下ろした斎藤も、少し笑みがこぼれた。制球などの課題も含めて、現状の「斎藤佑樹」を確認できた。「(右)肩に関しては復帰しましたが、勝つことに関しては復帰できていない。次はそこを目指して」。この日が、完全復活へ向けた最終章の始まりだ。【木下大輔】