この秋、伝説の門田トレが復活する。ソフトバンク藤本博史コーチ(49)が宮崎秋季キャンプで課す特訓の中身を明かした。不惑の大砲、球団OBの門田博光氏が現役時代に行っていた重いボールでのティー打撃だ。

 “門田ボール”は通常より重くつくられたトレーニング用の球。その球を南海時代、門田氏は重さ1・2キロのマスコットバットでフルスイングでティーネットへたたき込んでいた。藤本コーチは「門田さんからお前も打ってみろと言われてね。ズシンと手に来る。今の子は弱いから手首が痛いとすぐ言うんじゃないかな」と笑いながら懐かしんだ。重量ボールは現在、倉庫の奥でカビをかぶっているため新しく発注する。市販のもので通常より約100グラム重い240グラム。芯のコルクを重くしているという。

 今季は打率、得点、本塁打と打撃3部門でリーグトップの成績を残した。それでも藤本コーチは「4位なんだから振り込まないと。1日最低でも1500スイング。10年後にあの時のキャンプが一番練習したと言われるようになればいい」と、地獄トレを予告。力強い打球を求める中村、来季4番定着を期待される柳田らに門田トレを連日行い徹底的に鍛え上げるつもりだ。

 当時の南海はBクラス常連の弱小球団だった。その中で1キロを超えるバットで門田氏は歴代3位の通算567本を記録した。「練習では僕は憎まれ役でいい」。まさかの4位で終わったこの秋、若タカたちが伝説を受け継ぐ。【石橋隆雄】