<コナミ日本シリーズ2013:楽天2-1巨人>◇第2戦◇27日◇Kスタ宮城

 マー君が「流れ」を変えた。楽天田中将大投手(24)が巨人打線から毎回の12三振を奪い、3安打1失点で完投した。6回2死満塁のピンチをこん身の152キロで空振り三振に仕留め、日本シリーズ初登板を完投勝利で飾った。その裏、銀次内野手(25)の中前適時打を呼び込み、初白星を挙げ、対戦成績を1勝1敗とした。レギュラーシーズン24勝0敗のエースは、これで昨季からの連勝を30に伸ばした。28日は試合がなく、29日から東京ドームに舞台を移して第3戦に挑む。

 田中は満員の観衆の視線を独り占めした。9回1失点で、球団に初の日本シリーズの勝利をもたらした。お立ち台で「自分で作ってしまったピンチ。自分で抑えなければと思っていました」と言った。地鳴りのような歓声を浴びた。

 土俵際で踏ん張った。0-0の6回2死満塁。巨人ロペスを2ボール2ストライクと追い込むと、7球目で初めて内角を選んだ。「気持ちを込めて投げました」と、この日最速タイ152キロで空振り三振。両手でガッツポーズすると、半回転して再び右拳を突き上げる。感情を爆発させた。2死から2四球を与えた。自分で取り返すだけだった。

 カバーしたのは、自分のミスだけではなかった。直前の5回、味方に拙攻が出た。枡田が内野安打で、初めて先頭が出た。だが、続く松井の投手へのフライに枡田は飛び出した。帰塁できずに併殺で、先制のチャンスをつぶした。田中は「試合の中での流れは意識していた。ミスの後は、流れが向こうに行きやすい。6回は、ビシッと抑えようと思った」。その6回、ピンチは招いても点は与えなかった。すると、その裏に銀次が先制打。どっちに向くか分からなかった女神を振り向かせた。

 田中が投げれば何かが起こる。チームメートが認める“神通力”がある。この日の試合前、小山伸が神妙な顔で「不思議なことがあるんです。科学的には証明されないことですけどね」と打ち明けた。リーグ優勝を決めた9月26日西武戦、そして、CS突破を決めた21日ロッテ戦。田中は9回を抑え、胴上げ投手になった。花を持たせようというベンチの親心だった。そのため、9回を抑えれば勝つという条件でなければ、登板はなかった。

 両試合とも7回の攻撃が始まるまで、リードを許しているか、同点だった。田中が7回に入ってブルペンで肩を作り始めた時だ。小山伸は「流れが変わる」と直感したという。その通り、7回に逆転、勝ち越し。小山伸は「今年は田中を中心に風が吹いている。第1戦に負けても、誰も心配していなかった」。連敗ならシリーズの流れも失いかねなかった。エースの仕事で、周りに安心感を与えた。

 中4日で第1戦先発が濃厚と見られていたが、田中は自ら中5日の第2戦先発を選んだ。「初戦に投げないことで、いろいろ言われた。黙らせたいなと」と正直に言った。結果で雑音を封じ込めた。次は、仙台に戻る第6戦先発が有力だ。「どこで投げるか分かりませんよ」とおどけたが、目指すところは1つ。日本一だ。【古川真弥】