男村田が不敗の田中をワンショットで打ち砕き、恩人阿部を救う。楽天に王手をかけられた巨人は1日、仙台へ移動し、Kスタ宮城で練習した。今シリーズ2本塁打と好調な村田修一内野手(32)は絶体絶命の状況下でのマー君との決戦で4番を務めることが濃厚。失投が極めて少ない田中を一振りで仕留め、不振に苦しむ主砲阿部をフォローすることを誓った。
やるか、やられるかだ。村田は覚悟を固めた。崖っぷちで迎える田中との決戦前日。打撃練習は通常よりも1メートル近い約14メートルの距離で行われた。「バリ近い!」と博多弁で苦笑いする。だが体から湯気を発しながら繰り返すスイングは熱を帯びていた。「もうやるしかない。先に1点を取るか取られるか。取れば勝ち、取られれば負け。それぐらいの気持ちでやる」。無敵の田中を前に不退転の決意を示した。
おとこ気を見せる。今シリーズ、自分の前を打つ阿部が極度の不振で苦しんでいる。移籍後の2年間、そんな姿を見たことがなかった。昨季の試合中に強制帰宅させられた時、今季も初回で交代させられた時、いつも食事に誘われ、励まされてきた。
村田
阿部さんが人間で良かった。怪物だと思っていたから(笑い)。昨日(第5戦)は阿部さんが歩いて、何とかしないと、という思いが9回の同点打になった。自分1人じゃ助けるなんてできない。でも2年間、僕は救われてきたし、誰かがダメな時にカバーする。それがチームだから。
おとこ気と、勇気で田中を打つ。「勇気を持ってバットを振るだけ」。どの球種も超一級品の田中を前にすると、打者は狂いが生じる。狙い球はぶれ、何とか当てようとスイングが弱くなる。それこそが田中にのみ込まれている、ということ。村田は第2戦の対戦で最大の武器であるスプリットを狙い打ちし、中前へ痛烈にはじき返した。「失投を逃さない。失投もその打席に1球あるか分からないが、思い切り振る」と強い気持ちで臨む。
原監督は田中との決戦について聞かれ「その一点に尽きる」と言い切った。好球必打の原点回帰に「そう簡単なものではないが、シンプルに行くことも大事。思い切って行きます」と説いた。打撃練習ではケージ裏で各打者の状態をジッと観察。一晩かけてスタメンを熟考するため、判断材料をかき集めたが、3戦ぶりの4番村田は濃厚だ。
ここまで来たら、四の五のは言っていられない。「打撃も守備も1年間やってきたことを悔いなく出す」と言う村田の思いは、田中を迎え撃つ巨人軍の決意表明だ。【広重竜太郎】



