今季国内フリーエージェント(FA)権を取得した日本ハム小谷野栄一内野手(33)が権利を行使せずに残留することが5日、分かった。球団側は必要不可欠な戦力として、かねて残留を要請。下交渉を続けてきた。生え抜きの小谷野はシーズン終了後から明言を避けてきたが、その意向を受けて熟考を重ね、この日までに合意した。早ければ今週中にも意思表明するとみられる。

 責任感、使命感あふれる決断になった。今季は打率2割7分5厘も、序盤は低迷。10年に打点王を獲得して打率3割超をマークも、翌11年からやや下降気味だった。今季は定評ある守備でも三塁手としてリーグ最多18失策と精彩を欠いた。日本ハムは年俸算出にシビアで公正な査定方法を確立。それにのっとれば小谷野がFA権を行使したとしても加味されずに来季は、今季年俸1億500万(推定)から減俸となる。水面下では既に厳しい金銭条件の提示がされたもよう。受け入れた上での判断になったようだ。

 来季は12年目。不動の4番の中田が今オフから自身の定位置の三塁転向へ挑戦中と、レギュラーも不透明な立場になる。定位置争いをしながら復活、逆襲を狙う1年。あえて新天地ではなく、プライドをかけて現状と向き合い、打破しようという心意気の表れともとれる。小谷野は「球団には、入団してからずっとお世話になってきた思いがある」と、かねて強い愛着を抱いていることを明かしていた。14年も「日本ハム小谷野」のままで潔く、裸一貫での出直しを図る。