成長も2段飛ばしだ。阪神藤浪晋太郎投手(19)が投手陣に課せられた「クロスカントリー」のメニューで“虎新記録”をたたき出した。安芸球場のアップダウンを利用し、約80メートルの階段、300メートルにわたる坂などの難所を駆け抜ける過酷なレース。1周800メートルを5周し、計4キロの道のりを19分46秒で走破した。「若いので」と謙遜したが、2位秋山に25秒差。無尽蔵のスタミナだ。

 圧勝だった。大きなストライドでスピードに乗った。階段は2段飛ばし。さらに1周ごとのタイムの差も5秒以内でおさめた。伊藤トレーニングコーチは「20分切ったのは見たことがない。坂を上がっても回復力がある」と目を見開いた。毎年1位を競っていた秋山、鶴、白仁田のスタミナ3本柱を簡単に超えた。

 無尽蔵のスタミナを見れば、プロ初完投への期待も膨らむ。今季は137回2/3の登板にとどまり、規定投球回数(144回)に達しなかったが、完投できる手応えはある。

 「最初は球数制限もあったので。毎度ではないけど球数がよければ完投する自信はある。できる限りの回を投げたい」

 第2クールからはブルペンで傾斜を使ってフォーム矯正も行う。藤浪の秋は充実している。【池本泰尚】