<国際強化試合:日本4-2台湾>◇9日◇台北・新荘

 ドラフト1位で広島に指名された九州共立大・大瀬良大地投手(22=長崎日大)が、自己最速タイの153キロをマークし、プロ“デビュー”白星を飾った。台湾代表との強化試合2戦目に、5回から2番手で登板。先発した野村祐輔投手(24)との広島リレーで、ドラフト以降の初実戦を2回1安打無失点に抑え勝利投手になった。テレビ中継でゲスト出演していた広島野村謙二郎監督(47)からも「十分だと思います」と合格点を与えられた。

 マウンドに立つ姿は、プロ未登板とは思えぬオーラに包まれていた。大瀬良が大学NO・1の実力を、プロが集う代表戦で見せつけた。3点リードの5回。1アウトを取り、林旺衛への初球だった。小さなテークバックから解き放たれた直球は、自己最速の153キロをマーク。「いつも通り、投げられました」。国際舞台にも動じぬ肝っ玉の強さの証明だった。

 5回は7球すべて直球で3者凡退。だが、6回は得点圏に走者を背負うと、宝刀カットを解禁した。2死一、三塁とピンチを広げたが、4番陳俊秀にはフルカウントから138キロカットで空振り三振。右手を腰付近で握りしめ、小さく、しかしながら力強いガッツポーズ。白星も舞い込み「たまたまですけど、うれしいです」と笑った。

 “御前試合”だった。テレビ中継のゲスト出演では、広島野村監督が台湾を訪れており、試合前には激励も受けた。「期待が大きいので、高いレベルで見ていた」とハードルを上げられた中での投球。「いいピッチングを見せたいと思っていました」と有言実行した即戦力右腕に「十分だと思います」(野村監督)と合格点を与えられた。スタンドにはドラフトで抽せんを引き当てた田村スカウトも観戦していた。

 ライバルたちの存在が、成長を後押しした。高校3年の夏、長崎大会でセンバツ優勝投手の清峰・今村(広島)に投げ勝ち、初出場の甲子園で、菊池(西武)率いる花巻東と激突した。だが、世代最強投手から5点を奪い追い詰めながら敗れ去った。試合の2日前、大瀬良は腰を痛め、車いすが必要な状態だった。それでも言い訳はせず、冷静に敗戦を認めた。

 「対戦してみて、今村や菊池が高卒でプロに行って活躍するんだと思った。体も細かったので、しっかり体をつくって即戦力でドラフト1位でプロに行けるようにと思っていた」

 思い描いた理想通り、福岡6大学リーグでは、通算38勝8敗、防御率1・07の成績をたたき出し、ようやくスタートラインに立った。日の丸を背負い、迫力抜群の投げっぷりは、再びライバルたちの闘志にも火を付けるだろう。「この経験を(プロで)早く生かしたい」。大瀬良の存在が球界を熱くする。

 ◆大瀬良大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日、長崎県生まれ。小学4年から野球を始める。長崎日大では2年秋からエース、3年夏に甲子園出場。九州共立大では新人賞、3季連続MVP。2年時に日米大学野球で、3年時はアジア選手権で社会人と合同の日本代表に選ばれる。福岡6大学リーグでは4年間通算で38勝8敗、防御率1・07。ドラフトでは阪神、ヤクルトと競合の末、広島が交渉権を獲得した。187センチ、89キロ。右投げ右打ち。