東北から全国を沸かせた2人が、最高の栄誉に輝いた。楽天星野仙一監督(66)が11日、プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる「正力松太郎賞」を受賞した。この日、都内のホテルで選考委員会が開かれ、球団初の日本一に導いた手腕が評価され、満場一致で選ばれた。受賞は、阪神監督としてリーグ優勝した03年以来2度目。また、開幕から無傷の24連勝を記録した田中将大投手(25)には特別賞が贈られた。特別賞は04年のマリナーズ・イチロー外野手が選出されて以来2人目。

 星野監督は、一報を聞いて驚いた。岡山・倉敷の秋季キャンプを離れ、神戸にいた。三木谷オーナーの実父で、9日に亡くなった良一さんの告別式に参列していた。式後、取材に応じ「プロ野球の生みの親の賞だし、監督としては投手の沢村賞みたいなもの」と感謝した。だが、すぐに「全く予測していなかった。そういう賞があることも忘れていたよ」と漏らした。

 阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた03年以来の受賞となった。「ちょうど10年か」と感慨深げだったが、その賞を「おまけ」と捉えた。「みんなが、ここまで持ってきてくれて日本一にしてくれたのが最高の賞。そのおまけに、正力さんの賞をいただける。コーチ、選手のおかげだよ」と言ったのは、本心だった。

 この3年間を振り返る時、運命めいたものを感じるという。日本一を決めた後だった。テレビを見ていると、日本一になった「11月3日」が、東日本大震災の起きた「3月11日」と、月と日の数字が逆であることを気づかされた。「あの日と逆の数字。偶然でも、できすぎ。計算したわけでもない」。2013年は、東北のためのシーズンだったのかもしれない。だから、栄誉を手にしても、こう言った。

 星野監督

 震災でひどい目に遭った人たちに、選手がめでたいことをもたらした。一瞬でもね。そっちの方に心が向く。これから寒くなる。(被災した人は)われに返るだろう。だけど(日本一になった日のことは)忘れないでしょう。

 大きな頂きに達したが、もう気持ちは切り替わっている。「頭の中では動いている。シリーズが終わってからね」。連覇という、次の目標がある。【古川真弥】

 ◆正力松太郎賞

 日本のプロ野球の発展に大きな功績を残した故正力松太郎氏を記念し、77年に制定された。プロ球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に、選考委員会が選出する。受賞者は日本一に輝いた監督が多く、最多は第1回を含めて4度選ばれた王貞治氏。正賞は500万円。特別賞は300万円。