「鬼教官」が「鬼判定員」に変身する。新任の中日佐伯貴弘2軍監督兼打撃コーチ(43)が11日、正式契約を交わすために名古屋市内の球団事務所を訪れた。中日は今日12日の紅白戦を行うが、佐伯2軍監督は「怠慢プレーについてはペナルティーを科します」と宣言した。1つ、1つのプレーを細かくチェックし、判定を下す。

 ○か×か…。選手のプレーに厳しい判定が下される。新体制初実戦となる今日12日の紅白戦。緊張感漂うゲームとなりそうだ。秋季キャンプで連日真っ暗になるまで選手に愛情を注いでいる佐伯2軍監督は、試合のチェック項目を挙げた。

 「明日選手にお願いすることは、新しいことはするなということ。前向きなミスは大いに結構。その代わり、安全にいってのミスや怠慢プレーについてはペナルティーを科します」

 積極的な走塁でアウトはOK。猛チャージして結果的に取れなくても構わない。ただ、消極的なプレーだけは「×」判定が下される。問われるのは野球に対する姿勢。10日のナゴヤ球場で大盛り上がりのドラフト方式で決定した紅白戦メンバーが、真剣勝負を繰り広げることになる。

 ナゴヤ球場では8時間オーバーの過酷キャンプが続いている。12球団ナンバーワンの練習量について佐伯2軍監督は平然と言った。「去年までのことは分からない。僕は僕の基準でやる。長いから厳しいわけじゃない。必要なことをやってるだけ」。谷繁兼任監督が「あんなに練習した選手は見た事がない」と言う男は、やっぱりストイックだ。

 この日、正式契約を交わすために訪れた球団事務所でも佐伯流を貫いた。西山球団代表に頼まれて球団職員の前に立ち「選手と一緒に戦ってください。熱く、強く、泥臭く。みなさん一緒の方向を向いて、お願いします」と熱くあいさつした。戦える選手を2軍から鍛え上げる。そのためにも、初実戦となるグラウンドに厳しい視線を送る。【桝井聡】