労組日本プロ野球選手会(嶋基宏選手会長=楽天)は14日、“条件付き”で新しいポスティングシステム(入札制度)に了承する方針を決め、日本野球機構(NPB)に伝えた。同時に、新制度は2年間に限定するもので、その間に現在9年の海外フリーエージェント(FA)権の短縮を含めた制度改革を求めた。困惑したNPBは大リーグ機構(MLB)との最終協議を凍結し、18日の実行委員会で対応を協議することになった。楽天田中将大投手(25)の去就に関わる新制度は、またしても決定が先送りになった。

 一件落着するとみられていたポスティング問題が、延長戦の様相を呈してきた。選手会の松原徹事務局長はこの日、NPBを訪れて井原敦事務局長らに、新制度を受諾することを伝えた。松原事務局長は「嶋会長以下12球団の選手会長と今後の対応を協議してきた。選手の意見を集約した結果、この新協定を2年間限定で承認するという返事をした」と、明かした。

 単なる承認ではなかった。選手会は協定の更新時期となる2年後までに入札制度の抜本的改正を求めるとともに「海外FA取得期間の短縮を含む抜本的改革を行うことを同時に求めます」と強く訴えた。海外FA権取得まで9年かかる現行制度について、松原事務局長は「向こう(MLB)と同じように(FA取得期間を)6年にすればいい」と、話した。12月5日の選手会定期大会でもさらなる議論をするという。

 選手会は、FA短縮の協議を進めることを“前提条件”としているようにも受け取れる。松原事務局長は「バーター(交換条件)ではない。(現制度を導入した)08年に2年後には見直しするという約束だったが、その後棚上げされてきた。もう先延ばしはやめてくださいよ、という確認の意味もあります」と説明した。

 しかし、NPB側はこれに困惑している。広島鈴木球団本部長は「おかしな話だ。要望なら分かるが、前提条件というのでは話にならない。選手会は自分たちの希望を何でも交渉に盛り込んでいこうとしている。もしMLBが『そういうことなら(入札制度は)必要ない』と言い出せば、いったい選手会はどう責任を取るのか。そもそも、入札制度とFA期間の短縮をリンクさせて話はできない」と、不快感を示した。

 NPBは選手会の受諾後、速やかにMLBとの詰めの交渉を進め、早ければ20日にも新制度発効する見通しを立てていた。しかし、選手会が、制度改革と併せて「FA短縮」を要望したことで、事態は変わった。NPBは日米協定の締結に向けたMLBとの話し合いを18日の実行委員会まで凍結する方針で、正式合意は予定より遅れることになった。

 NPB側は、今回の件とFAは別問題だという認識であり、選手会側にも確認を求めるとみられる。もし選手会が強硬な姿勢を見せれば、問題はさらに長期化してしまう。田中の動向に悪影響を与えないためにも、早期解決が望まれる。

 ◆新ポスティングシステムを巡る動き

 昨年までのルールが失効し、新制度の内容が10月までに固まった。日本の球団が得る額は入札額1位と2位の中間額とし、破談の場合は落札球団に罰金を科すことでほぼ合意した。これに対し選手会は1日、「新協定にメリットはない」として、不平等を主張。複数球団との交渉を求めて文書でNPBに再考を申し入れ、日本シリーズ終了(3日)の直後にも発表予定だった締結は延期された。11日に労使間事務折衝が行われ、選手会は近日中の返答を約束。合意へ向け、態度を軟化させた。