ソフトバンクが16日、広島からFA宣言した大竹寛投手(30)と広島市内で1回目の交渉を行った。出来高払いなど含め、推定で4年最大8億円を提示したとみられる。大竹が未体験の優勝争いが球団の至上命令で、その先発ローテの柱に“指名”して口説いた。

 小川編成・育成部長は「日本一になるために大竹君の力が必要」と訴えかけ、常勝軍団としての方針、環境を丁寧に説明。交渉後、大竹に「しっかり高く評価していただいた。チームとして勝利に向かう方向性を強く感じた」と言わしめた。

 プロ入り後7季で24試合以上先発、規定投球回数をクリアした実績、ここ2年連続の2桁勝利を評価。小川部長は「うちは期待できる投手はいるが、計算できる投手は少ない」とし、V奪回ローテの軸だと口説いた。

 「質問するより、いろんな話を聞かせていただいた」という大竹が唯一、球団に問うたのは春季キャンプでの調整。「春先のことです。自分のペースでというのを理解していただいた。大きなことではないけれど大事なので」。右肩痛の影響で10年からの2年間で9試合どまり。古傷再発を最も心配した。FA移籍なら新天地での期待も大きく、無理な調整になりそうだが、小川部長は「そういう状態ならね」と独自調整も許可した。

 中日からFAの中田賢に続き、情熱プラス資金面で他球団より先手を打った。後は朗報を待つだけだ。【押谷謙爾】