頼もしキャプテン、メジャーより優勝や!

 阪神鳥谷敬内野手(32)が12日、球団事務所で契約更改に臨み、2000万円増の年俸3億円でサインした。12年に取得した海外FA権を保有したまま、昨オフに続き、単年契約を結んだ。会見では「優勝を取りにいくシーズンにしたい」ときっぱり。まるで、優勝するまでメジャーには行けないと言わんばかりの決意をみなぎらせた。

 メジャー挑戦の意欲を抱きながら、阪神残留を決めた。鳥谷を思いとどまらせたのは、プロ2年目の05年から遠ざかっているリーグ優勝の栄冠だった。

 「優勝できなかったというのがありますし、本当にチームに必要とされたので、残留を決めました」

 WBC日本代表に選出され大活躍した。シーズンでは2年連続のフルイニング出場。遊撃で2度目のゴールデングラブ賞、4度目のベストナインにも輝いた。今年からチームキャプテンを任され4番にも座った。

 「順位だけ見れば2位というのはいいのかもしれませんが、やっぱり巨人との差っていうのはゲーム差に出てきている」と悔しさをにじませた。夏場まで首位争いを演じた巨人に、最後には12・5ゲーム差をつけられた。保有する海外FA権の行使はこのオフも見送り、12月になってもV逸の悔いが頭を離れない。和田監督は「体力がなく失速した」と話すが、鳥谷はこう分析した。

 「スタミナっていうのはどこのチームも試合数は一緒。巨人戦で3連敗して立て直すことができなかった。上の選手ともっと話し合いながら、チームとしてもっと盛り上がれたんじゃないかと思う。いろんなことを試しながらやっていきたい。休みの日に全体で練習するのもいい。話し合って方向性を出していけたらと考えている」

 チームの先頭に立つ主将は、優勝に導く対策を考えていた。今季も試合のない日は指名練習となり、参加するのは主に若手選手。それをやめ、チーム全員で練習する取り組みを、更改後の会見で呼びかけた。

 11月、ロッテ井口の日米通算2000安打達成祝賀会の席だった。将来的なメジャー志望を問われて「チャンスがあれば、前向きに考えたいと思います」と即答した。残留を決めたが、メジャーへの思いが薄れたわけではない。それでも、大差をつけられて2位に終わった悔しさが濃かった。メジャー挑戦への思いをのみ込み、優勝をにらんだ。

 11年オフに更改した自己最高の年俸3億円回復にも、浮かれた笑顔は一切ない。鳥谷が見据えるのは、リーグ優勝ただ1つ。夢を果たすまで、タテジマは脱げない。【宮崎えり子】

 ▼鳥谷は12年以来の年俸3億円返り咲き。阪神選手の3億円以上は鳥谷のほか、06年今岡(3億3000万円)、07~11年金本(最高は07~09年5億5000万円)、藤川09~12年(各4億円)、城島10~12年(各4億円)の5人。遊撃手の3億円超えはほかに、03年西武松井3億5000万円、10年中日井端3億円がいる。