ソフトバンクの石渡茂2軍監督(65)が、ファームに走塁革命を行う。08年以来、6年ぶりに指揮を執る今季のテーマは「1死三塁」のチャンスをいかにつくるか。

 石渡監督といえば近鉄時代の79年日本シリーズで「江夏の21球」と言われた場面で知られる。1点差の1死満塁。結果はスクイズ失敗だったが、あの極限状態を経験したからこそ、守る方にも攻撃する方にもプレッシャーがかかる「1死三塁」をより多くつくるつもりだ。

 勝つためだけではなく、若手に経験させることが目的だ。1死三塁であれば、安打ではなくゴロでも犠飛でも1点が奪える。本塁へ迎えられなければ罰金という球団もあるくらいだ。打者も三塁走者も判断力が求められる。

 チャンスを広げるためには二盗、そして三盗をどんどん仕掛ける。石渡2軍監督は「三盗は120%成功しないといけないが、足が速いというより技術があればできる。走塁にスランプはありませんから」と断言する。昨秋のキャンプから通算105盗塁の井出2軍外野守備走塁コーチと通算270盗塁の村松3軍外野守備走塁コーチが極意を若鷹たちに伝授している。

 牧原、真砂、育成の安田、釜元とスピードスター候補は多い。巨大補強の中、判断力、実戦力を備えれば1軍への道をこじ開けることだってできる。「走塁の意識でチームは変わると思いますよ」。通算84盗塁の石渡2軍監督の足技に注目だ。【石橋隆雄】

 ◆江夏の21球

 79年日本シリーズ近鉄-広島第7戦。9回裏、4-3と1点リードの広島は江夏が無死満塁のピンチを切り抜けた。代打佐々木を三振。石渡のスクイズを外し、三塁走者を挟殺。石渡を三振に仕留めた。作家山際淳司がノンフィクション作品として発表、ドキュメンタリー番組にもなった。