楽天が、ポスティングシステムを使ってメジャー移籍する田中将大投手(25)の退団&移籍会見の一般公開を検討していることが5日、分かった。ファンを大事にする田中らしく、直接、決意を伝える場を設ける計画だ。田中の代理人のケーシー・クロース氏(50)は、日本時間の明日7日から業務を再開するため、年俸総額1億ドル(約105億円)ともいわれる争奪戦がいよいよ本格化する。

 イメージは、ダルビッシュだ。2年前、日本ハムからレンジャーズに移籍したダルビッシュの会見は、札幌ドームで行われた。一般に無料公開され、スタンドには1万人を超えるファンが詰め掛けた。その前で、移籍に至った経緯や決意が語られた。楽天の球団関係者は「検討しています」と、同じように一般公開とする計画を明かした。

 会見場所など詳細は未定だが、田中にとって得難い時間となるのは間違いない。先月17日にメジャー挑戦の希望を球団に伝えた際にも「感謝しかないですね。プロ入り当初から、高校を卒業したばかりのひよっ子が、1軍のマウンドで、温かい言葉をかけていただいた」と、ファンへの感謝を口にした。そのファンに、あらためてお礼を述べるとともに、渡米の決意を披露できる。ファンにとっても、温かくエースを送り出す機会。満員が予想される。

 米報道では、移籍先はヤンキース、ドジャース、マリナーズ、ダイヤモンドバックスなどが有力視されているが、交渉はこれから本格化する。休暇を終えた代理人のクロース氏が、6日(日本時間7日)に業務を再開。交渉期限である米東部時間24日午後5時(日本時間25日午前7時)までに、移籍先を決める。

 当の田中は、既に関東の施設で始動。小山伸、辛島、則本らと自主トレ中だ。年末はテレビ収録など多忙を極め、大みそかにはNHK紅白歌合戦の審査員を務めた。だが、新年を迎えると同時に、野球モードに切り替えるのは例年通り。移籍先についても「そんなに早く決まるもんじゃないでしょ」と冷静に受け止めている。去就が定まるまで、淡々と移籍準備を進めるだけだ。満を持して、ファンに生声を届ける。【古川真弥】

 ◆ダルビッシュ退団会見

 レンジャーズと正式契約を結んだ後の12年1月24日、自ら希望し札幌ドームで日本ハムの公開退団会見を行った。ファン1万811人、報道陣約220人が集まり、北海道ではNHKを含むテレビ5局が生中継。大リーグ挑戦の理由に「すごい勝負がしたかった」「日本の野球が下に見られているのも嫌だった」と挙げた。