阪神がDeNAにFA移籍した久保康友投手(33)の人的補償として、鶴岡一成捕手(36)を獲得する方針を固めたことが5日、分かった。球団は当初、若手投手を獲得する方針だったが、プロテクト選手を除いたリストの中に、補強方針と合致する投手がいなかったため、捕手補強へと転換した。

 兵庫県出身の鶴岡は神港学園3年時に4番主将として甲子園出場。95年にドラフト5位で横浜に入団。その後、巨人へ移籍し、12年から古巣に復帰。昨季は開幕こそ2番手捕手としてのスタートとなったが、途中から正捕手の座を奪い返すと自己最多の108試合に出場して、打率2割5分、3本塁打、40打点と自己最高の成績を残して、最下位脱出に貢献した。

 阪神は今オフ、日本ハムからFA宣言し、ソフトバンク入りした鶴岡の獲得調査に乗り出すなど捕手補強もポイントだった。人的補償の最優先事項だった投手補強はできなかったが、藤井、日高に加えて、さらにベテランが加わる捕手陣の層は厚くなった。

 また、久保、スタンリッジ退団の影響で手薄となった先発投手陣については今後、トレードを中心に補強策を練っていく方針だ。

 ◆鶴岡一成(つるおか・かずなり)1977年(昭52)5月30日、兵庫県生まれ。神港学園では阪神大震災が起きた95年、センバツ甲子園に主将、4番捕手で出場し8強入り。同年ドラフト5位で横浜入団。08年6月、真田とのトレードで巨人移籍。11年オフ、国内FA権を使いDeNA入り。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季年俸4000万円(推定)。

 ◆久保FA移籍による阪神への補償

 FA補償は、移籍する選手の旧球団での年俸ランク(A=上位1~3位、B=同4~10位、C=同11位以下。外国人選手を除く)により決定。AまたはBランクの選手を獲得した球団は、旧球団への補償が必要になる。久保の昨季年俸は1億2000万円で、阪神ではBランクに位置。このため阪神はDeNAに<1>年俸の60%、または<2>人的補償+年俸の40%のいずれかを要求できる。阪神が鶴岡を獲得した場合は<2>のケースに該当。鶴岡に加え、さらに4800万円を請求できる(金額は推定)。