侍ジャパン台湾遠征(昨年11月)メンバーにも選出されたオリックス松葉貴大投手(23)が異例のトラブルに巻き込まれた。松葉らプロ野球6選手を乗せていたジャンボタクシーが6日、高知県宿毛(すくも)市内で自損事故を起こした。松葉や西武林崎遼内野手(25)、駒月仁人外野手(20)、日本ハム大野奨太捕手(26)、乾真大投手(25)、ロッテ鈴木大地内野手(24)が同市内の病院に緊急搬送され、松葉は「左手首打撲」と診断された。他の選手も軽いけがを負い、運転手にけがはなかった。

 宿毛署によると、事故は6日午前11時35分ごろ、宿毛市和田の国道56号線の交差点近くで起こった。国道を西に向かって走行中のジャンボタクシーが、交差点手前で左に寄った際に縁石に乗り上げ、信号柱2本に接触したうえ、道路そばの空き地のガードレールにぶつかって止まった。タクシーの左側前部が破損し、バンパーは脱落気味になるほどの衝撃だったようだ。他の車は関与していない単独事故で、通行人などのけが人はいなかった。

 この事故で、同タクシーの運転手のほか、助手席に乗っていた松葉や後部座席にいた西武林崎、駒月、日本ハム大野、乾、ロッテ鈴木が救急車で同市内の病院に搬送された。松葉はレントゲンなどでの検査の結果「左手首打撲」と診断された。患部に少し腫れがあり、7日以降の様子をみて自主トレを続けるかどうか決める。球団は「状態によってはチームドクターの再検査を受けることになるかもしれない」と説明した。

 松葉は新人の昨季は4勝を挙げ、今季は先発ローテ入りに意欲を見せていた。利き腕の左手首の負傷は投球に影響が出かねないだけに、不運な事故となった。運転手や他の選手は、大野が額にかすり傷を負うなどで軽傷、または無傷だったが、6選手が同時に事故に巻き込まれる異例のトラブルとなった。

 6選手は1月半ばまで宿毛市内の球場で合同自主トレを行う予定で、この日高知入りした。6選手のうち、4人が東洋大出身で、日本ハム乾は松葉の東洋大姫路時代の先輩にあたる。今回自主トレを一緒に行うこのメンバーは、高知龍馬空港から歓迎セレモニーが行われる予定だった球場に向かっていたところで事故に巻き込まれた。あわや大惨事につながる可能性もあっただけに、選手が診察後に歓迎式典に参加するなど大事にいたらなかったのが救いといえる。

 現場は宿毛市の中心地に近いバイパス道路で、同署によると、交通量は比較的多いが、見通しはいいという。詳しい事故原因も調査中だ。<交通事故に遭った主なプロ野球選手>

 ◆スタルヒン(元トンボ)プロ野球最多の83完封勝利を含む通算303勝。引退後の57年1月12日、東京都内で車を運転中に路面電車と衝突し、即死。40歳だった。

 ◆加藤斌(たけし=中日)作新学院ではエースとして62年の甲子園春夏連覇の立役者。プロ3年目シーズンを控えた65年1月3日、栃木県内の日光街道を運転中に塀に激突し、死亡。弱冠20歳だった。

 ◆金城基泰(広島)74年に20勝を挙げ最多勝。同年オフに交通事故に遭い失明の危機に陥ったが、手術を受け翌75年シーズン中に復帰。広島が初優勝を決めた同年10月15日巨人戦(後楽園)では、胴上げ投手となった。

 ◆大島康徳(中日)主砲として定着した80年4月14日、名古屋市内で運転中にスピードを出しすぎ、中央分離帯に激突。右手中指骨折と左目打撲で戦線離脱。

 ◆下柳剛(ダイエー)95年4月20日、福岡市内で運転を誤り、道路わきのガードレールに激突。さらに民家の塀にぶつかり、車は大破。「鼻骨骨折」と「左前腕部挫傷」のため、約1カ月入院した。

 ◆デルトロ(元西武)01年西武に在籍も、1シーズンで戦力外。故郷メキシコのオブレゴン市郊外で同年10月6日(日本時間7日)、友人の運転する乗用車に同乗中、対向車のトラックと正面衝突して即死。29歳だった。<緊急搬送された選手>

 ◆松葉貴大(まつば・たかひろ)1990年(平2)8月14日、兵庫県生まれ。東洋大姫路3年春の甲子園4強。大体大を経て、12年ドラフト1位でオリックス入り。昨季は17試合に登板し4勝6敗、防御率4.19。180センチ、77キロ。左投げ左打ち。

 ◆駒月仁人(こまづき・ひとと)1993年(平5)4月21日、京都府生まれ。塔南から11年ドラフト3位で西武入り。1軍戦出場はなし。昨季イースタン54試合に出場し、3本塁打、8打点、打率1割8分9厘。176センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆林崎遼(はやしざき・りょう)1988年(昭63)6月12日、兵庫県生まれ。東洋大姫路-東洋大を経て10年ドラフト5位で西武入り。昨季は31試合に出場し、0本塁打、1打点、打率1割5分2厘。175センチ、80キロ。右投げ右打ち。

 ◆乾真大(いぬい・まさひろ)1988年(昭63)12月8日、兵庫県生まれ。東洋大姫路-東洋大を経て10年ドラフト3位で日本ハム入り。昨季は19試合に登板し0勝0敗、防御率6・04。176センチ、74キロ。左投げ左打ち。

 ◆大野奨太(おおの・しょうた)1987年(昭62)1月13日、岐阜県生まれ。岐阜総合学園-東洋大を経て08年ドラフト1位で日本ハム入り。昨季は87試合に出場し、3本塁打、19打点、打率2割5分9厘。177センチ、79キロ。右投げ右打ち。

 ◆鈴木大地(すずき・だいち)1989年(平元)8月18日、静岡県生まれ。桐蔭学園-東洋大を経て11年ドラフト3位でロッテ入団。昨年全144試合に出場。パ遊撃手部門でベストナインを初受賞。175センチ、79キロ。右投げ左打ち。