究極の球界NO・1ショートへ!

 阪神鳥谷敬内野手(32)が14日、沖縄・名護市内でロッテ井口らとの合同自主トレを公開した。昨季わずか4失策でシーズン守備率9割9分4厘をマークした鉄壁のショートストップは、セ・リーグ1位の97年中日鳥越(9割9分7厘)を超える史上最高も視野に入れる。天井知らずの進化で、05年以来、9年ぶりの優勝に導く決意だ。

 超一流への階段を1歩ずつ着実に上がっている。名手の域に達したショート鳥谷に新たなチャレンジがある。沖縄で自主トレを実施。ロッテ井口、清田らとノックを受ける。柔らかいグラブさばき、コンパクトな送球動作も健在だ。

 昨季の遊撃守備率9割9分4厘はリーグ1位で阪神の球団新記録だ。だが、まだ上がいる。97年中日鳥越の9割9分7厘を筆頭に03年中日井端、05年ヤクルト宮本と達人が名を連ねる。

 「いいに越したことはない。シーズンが終わったときに、そういった数字を意識するかもしれない。やっている最中に数字を見過ぎて思い切りいけなくなるのは嫌。攻めていったなかでミスもある。最後に、超えられればいいですね」

 シーズンに入れば邪念を振り払い、自然体でワンプレーに集中する。だが、守備力は年々向上し、遊撃でのシーズン守備率の歴代1位を視野に入れても不思議ではない。昨季はレギュラー定着後、自己最少の4失策。「数にはこだわらないけど少なければ少ないほどいい。(失策)2つを目標に頑張ります」と話す。

 昨季なみの守備機会で目標に挙げる2失策なら、鳥越に匹敵する守備率9割9分7厘に達する。仮に1失策なら、まさに究極の9割9分9厘…。昨季に続くゴールデングラブ賞を狙うなど、とにかく守備への思いは強い。

 「エラーの数にこだわるより投手、捕手、チームメートに信頼されるようにできたらと思う。プロ10年間で1回しか優勝していない。優勝したい気持ちは強い。個人的には打つ方はいままで残した数字をすべて上回れるようにしたい」

 鉄壁の守備だけでなく、長打もある強打こそ鳥谷の真骨頂だ。打率3割1厘、20本塁打、104打点がシーズン最高成績。虎のキャプテンは自己ベスト更新に向けて準備する。この日はロングティー打撃で力強いスイングを繰り返した。ロングダッシュ、60メートル近い距離の遠投を行うなど、体調面の不安は見当たらない。

 昨季も全試合プレーし、プロ野球史上3位の1322試合連続出場、2年連続でフルイニング出場を継続中だ。「昨年、巨人にやられてしまった。何とか巨人を倒して、いいシーズンにしたい」。自主トレでは午前6時過ぎからランニングを行っているという。揺るぎない意思を持つ鉄人が今年も阪神を支える。【酒井俊作】