巨人菅野智之投手(24)が4日、「世界の懐」に飛び込み、内角の重要性を再認識した。ブルペン投球で松井秀喜臨時コーチ(39)が打席に立ち、51球の熱投。超一流打者のオーラを感じながら、気後れせず、21球を内角に投げ込んだ。今季のテーマに掲げるのは「直球」を磨くこと。松井氏も直球を評価した上で「素晴らしい投球だった」とたたえた。

 単なる夢の時間だけでは終わらせなかった。松井コーチと対峙(たいじ)した時、菅野の視線は懐に向いた。「インコース、直球でお願いします」。吸い込まれるように、高橋ブルペン捕手のミットに収まる。オーラと存在感の大きさも重なって、「大きいなぁ」と映ったが、堂々と「世界の内角」に突っ込んだ。

 菅野

 もし、打席に立っていただける機会があれば、インコース真っすぐで入ろうと決めていた。

 松井氏が打席に立った51球のうち、21球が内角を攻めたボールだった。19球目、食い込みすぎて、松井氏が前のめりになっても、揺らがなかった。「メジャーで一線級の方が、インコースを大事にされている。そこを見ていただきたかった」。きっかけは宮国に対し、松井コーチが内角の重要性を説いた記事だったが、マウンドから体感した。

 「世界の威圧感」も、五感で味わった。相手は子供の頃から、あこがれだった巨人の4番、そしてヤンキースの中軸打者。「感動しました。打つ気が無くても、伝わってくるものがあった。オーラのある方だった」と肌で感じた。未知の感覚に、抜群の制球力を誇る菅野でも、珍しく球がばらつく場面もあった。それでも、この日の経験が、さらなる飛躍への礎となる。

 未来の巨人を背負う男の投球を、松井コーチも受けとめた。何度、懐をえぐられても、泰然自若のフォームで迎える。膝付近を攻められ、一瞬ヒヤッとしても「大丈夫だよ」と笑顔で返した。最高のボールには「ナイスボール」と声を掛け、静かにうなずく場面も見られた。「誰でもアウトコースだけでは抑えられない。素晴らしい投球だった」と評価した。

 投球後、球場での会話はかなわなかったが、菅野は松井コーチとの会話の機会を心待ちにした。「チャンスがあれば、お話を聞きたいと思っています。松井さんに教わったことを吸収して、成長していけたらと思います」。超一流打者が相手でも、自ら掲げたテーマを実践し、堂々とマウンドに立った。【久保賢吾】