ほんわかしたムードは、たちまち一変した。5日、ロッテの新人たちが楽しもうと思っていた八重山たこ揚げは、ハードなトレーニングになってしまった。ドラフト1位の石川歩投手(25=東京ガス)は「やばい!

 飛ばされる」と、大だこの糸を持つ役を2位の吉田裕太捕手(22=立正大)に代わってもらった。その吉田も「これ、無理っす。重い」と、うめき声を出した。

 のびた糸は200メートルを超えていた。上空高く引っ張られるたこを必死でつなぎ留めた。大変だったのは、その糸を巻き上げること。吉田に代わって5位の井上晴哉内野手(24=日本生命)が、大間のマグロ漁師のようにたぐり寄せた。革手袋は摩擦でボロボロ。左右とも70キロの握力で、なんとか下ろした。「腕がプルプル言ってます。握力のいいトレーニングになりました」と苦笑いした。

 300年以上の歴史を持つ八重山たこの楽しさと大変さに触れた。野球ではタコと言えば凡退を意味する。井上は「打者にとってタコは縁起が悪いけど、このたこは違うたこ。大丈夫です」と自分に言い聞かせるように言った。たこはもう十分満喫した。ここからはタコと無縁でいい。【竹内智信】