<オープン戦:楽天4-3中日>◇9日◇倉敷

 今年も1番は誰にも渡さない。楽天の岡島豪郎外野手(24)が中日戦でサヨナラ打を放ち、チームを6連勝に導いた。9回2死三塁から三遊間を見事に破るなど4打数2安打1打点の活躍。昨季中盤から定着した1番打者として、今季は積極的な走塁を見せるなど、まさに「切り込み隊長」となっている。外野陣は激しい定位置争いが繰り広げられているが、存在感はますます高まるばかりだ。

 3-3で迎えた9回2死三塁。岡島はカウント1ボール2ストライクからの4球目、パヤノの144キロ速球を三遊間へ流した。鋭いゴロはあっという間に内野を抜け、1万1677人の観衆の歓声が球場を包んだ。6連勝を決めたサヨナラ打に「反応して打ちました。打つしかない場面で打てて良かった」と話す。

 昨季中盤から勝負強い打撃で1番打者に定着。規定打席には届かなかったが79試合に出場し、打率3割2分3厘と好成績を残した。殊勲打に星野監督も「あそこに打つしかないわな。(打順は)どうせいって言うの。今のところはこのままや」と今季も先頭打者に据える考えだ。岡島は今季、積極的な走塁を掲げている。単打コースでも二塁を目指し、一塁走者となればワンバウンドの投球で二塁を陥れる。日本一となりながらチーム盗塁数はパ・リーグ最少の62だった機動力を改善するため、足でチームをもり立てる。

 2番藤田とのコンビネーションもばっちりで、オフには京都市内で自主トレをともに行った。「自分は何にも考えないで打ってしまう。それを藤田さんがカバーしてくれる」と岡島が塁に出て、藤田が進塁打を打つ。1、2番のあうんの呼吸がチームの好機をもたらしている。田代打撃コーチも「岡島が打って、良い勝ち方ができた。打線がつながってきているよな。開幕までこの感じでいきたい」と期待を寄せる。岡島は「藤田さんの前を打って、勝利に貢献したい」と意気込む。連覇へ、1番打者の勢いが止まりそうにない。【島根純】

 ◆楽天の1番打者

 優勝した昨季は開幕から松井稼、聖沢を併用。岡島は7月31日に初めて1番を打ち、そのまま日本シリーズまで定着した。スタメン1番には5人が名を連ね、最多は岡島の52試合。1番での出塁率は岡島の3割9分7厘が断トツだった。