「勝利の方程式」に入れてください!

 広島一岡竜司投手(23)が10日、練習試合・中日戦(マツダスタジアム)で同点の8回から登板し、1イニングを2奪三振の完全投球だ。これで対外試合4戦で計4回1失点。巨人にFA移籍した大竹の人的補償として獲得した若武者が、早くもブレークの兆しを見せている。

 雪が降る時間帯もあり、最低気温1度を記録した広島。一岡は寒さではなく、1軍の舞台に立っている喜びに身を震わせながら、全力で右腕を振った。

 「寒くてもこういう立場なので、しっかり結果を出そうと思っていました」

 8回から登板。先頭の6番福田を外角142キロ直球で空振り三振に仕留めると、7番藤井はフォークで空振り三振。8番松井雅をこの日最速144キロ直球で中飛に打ち取り、あっさり3者凡退に仕留めた。前回登板した1日の練習試合・日本ハム戦は1回2安打1失点。「前回は先頭に簡単に打たれたので、最初はボールから入った。指のかかりが良くて直球で空振りを取れたし、フルカウントからフォークで三振も取れた」と充実感を漂わせた。

 中日の練習が始まる直前、ソワソワした表情で一塁ベンチから目を凝らした。お目当てはオフに巨人から中日へ移籍した小笠原。昨季まで在籍した巨人の2軍時代、ジャイアンツ球場で共に汗を流した大先輩だ。あいさつに向かうと、「お互い移籍していいチャンスだから頑張ろう」とエールを送られた。「若手と一緒の時間に練習に出て来て練習する姿はお手本でした。自分も頑張ろうと思います」。死に物狂いで戦う40歳の前で、中途半端な投球をする訳にはいかない。必ずチャンスをつかみます-。決意を全身で表現した。

 「今日で投げやすいイメージがつきました」。広島移籍後、本拠地マツダスタジアムで初登板。巨人のユニホームを着ていた昨年9月15日広島戦、1回2/3を3安打1四球1失点と苦しんだ記憶を脳裏から消し去った。これで対外試合4戦で4回1失点。山内投手コーチは勝ちパターンでの起用についても「もう少し。そうなってほしい1人ですね」と期待する。目指すは「勝利の方程式」入り。「他人じゃなく、まずは自分がしっかり頑張らないといけない」。爽やかな笑顔の裏に、強い覚悟がある。【佐井陽介】

 ◆一岡竜司(いちおか・りゅうじ)1991年(平3)1月11日、福岡県生まれ。大分・藤蔭から沖データコンピュータ教育学院を経て、11年ドラフト3位で巨人に入団。プロ2年間で1軍登板13試合、0勝0敗、防御率4・70。昨年はイースタン・リーグで15セーブ。巨人にFA移籍した大竹の人的補償で昨オフ広島移籍。179センチ、82キロ。右投げ右打ち。