アジャに“地獄突き”だ!

 ソフトバンクは26日、ヤフオクドームでライバル球団の新戦力分析ミーティングを開催。ロッテのアジャ・コングことドラフト5位の井上晴哉内野手(24=日本生命)への警戒レベルが急上昇した。新人ながらオープン戦首位打者で開幕4番という不気味なスラッガー。鶴岡慎也捕手(32=日本ハム)らが内角攻めをちらつかせた。

 有名女子プロレスラーにそっくりな見た目からついた「アジャ」の博多上陸。タイミングを同じにしてドームではナインが今季対戦する新戦力を映像でチェックしていた。強い警戒音が鳴ったのはロッテ井上の場面だった。「外の甘めや内の緩い球は持っていかれる」と竹口チーフスコアラー。話題先行の流れをオープン戦の打率4割3分5厘、2本塁打と実力で変えてみせた大型ルーキーはやはり不気味な存在だった。

 開幕マスクの鶴岡はまず賛辞を並べた。「スイングの軌道を見ているとたまたま打っているのではない。対応力がある。プロで何年もやっているよう。相手の力を認めて、やらなくては」。もっとも、プロ12年目で酸いも甘いも知る男である。対戦を控えた打者に与える影響を計算するような?

 発言を続けた。「内角はリスクがあるけれど、投げないと抑えられないかもしれないし、投げなくても抑えられるかもしれない」。最後に「プロの意地を見せたい」と締めくくった。

 鶴岡がうっすらほのめかした内角攻め。プロレス技なら地獄突きか、水平チョップか。田村バッテリーコーチの補足説明は相手に十分プレッシャーをかけるものだ。「外国人選手と同じで内は厳しくいかないと。よそとの対戦を見たが、実際うちの投手とやってどうかだね」。踏み込んでくる相手の内角に速球を投げて打撃フォームを崩すのは定石と言える。同一球団と24試合を戦う長いシーズン。ルーキー相手にも手を緩めない“予告”で駆け引きは始まった。【押谷謙爾】