<阪神4-2ヤクルト>◇18日◇甲子園

 エースがヤクルト・バレンティンを、チームの連敗を止めた。先発した阪神能見篤史投手(34)が、昨季60発で今季もリーグトップ9本塁打の主砲との3打席を完璧に封じ、6回2/3を投げ5安打2失点。リーグトップタイの3勝目を挙げた。

 本塁打王との対決は、3打席とも同じ状況だった。前日17日、バレンティンと相対する心構えを「ランナーをためて迎えないように」と語っていた。まさに、その言葉通り。3度の対戦をいずれも先頭打者として迎えた。第1打席は5球直球を続けた後にチェンジアップ2球で空振り三振。第2打席は4球中チェンジアップが3球と配球を一転させての空振り三振。第3打席はそれまで投げなかったスライダーとフォークを軸に中飛。前日までの2試合連発を含め、7戦7発と猛威を振るっていた大砲を無安打と完全に手玉に取った。

 前回登板の巨人戦(甲子園)で完封するなど調子は上がってきていたが、さらにこの日に備え、ワンランクアップしていた。テークバックで左腕が高すぎ、右肩が開くのが早くなっていた。そこで左腕の位置を微調整し、体の開きを抑えた。それにより「チェンジアップがよかった」と中西投手コーチ。開幕戦で10失点した能見は、もういない。4回まで5三振を奪うなどパーフェクトの投球。7回2死から崩れ、マウンドを降りたが、連敗ストップへの流れを呼んだ。責任感の強い左腕だけに、救援を仰ぎ「前半、ああいう展開になると、後半ピンチになる。勝ってよかった」とホッとした表情だった。

 本拠地甲子園に帰ってきたチームを、エース左腕が再び勢いづけた。【宮崎えり子】