巨人は19日、キューバ国内リーグでプレーするフレデリク・セペダ外野手(34)の譲渡契約について、キューバ野球連盟、セペダ本人と合意したことを発表した。セペダは両打ちの強打者で、五輪に2回、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に3大会連続で出場。背番号は23で、契約金5000万円、年俸1億5000万円(ともに推定)。5月中旬にも来日する。キューバ政府は昨年9月、自国の選手が他国でプレーすることを公式に認めた。同制度を利用した記念すべき1号選手は超大物で、巨人ナインからは驚きと歓迎の声が上がった。

 巨人原辰徳監督(55)は、興奮を隠せなかった。ロッカールームへと続く東京ドームの関係者通路。セペダの加入について、09年WBCで監督を務めたこともあり「WBCでマークしていた、世界のスラッガーの1人。日本でプレーしたい気持ちを強く持っている選手が、大きな戦力として加わってくれる。競争も生まれると思うが、頑張ってもらいたい。セはDHがないので、外野として期待しています」と言葉を並べた。

 国際大会でその力を肌で感じたナインも、驚いていた。昨年のWBCに出場した山口は「えっ、本当ですか?

 すごいですね」とビックリ。阿部は「対戦して感じたけど、ものすごいバッター」と語った。キューバ代表でチームメートだったアンダーソンは、目を見開き「ハッピー!

 ハッピー!

 アミ~ゴ!」と大喜び。ポジションが重なる外国人選手が加入することで競争も生まれる。そんな現実を傍らに置いて「素晴らしい選手で、高いバッティング技術を持っている。巨人にとっても大きな補強。同郷の選手が増えるのもうれしい」と止まらなかった。

 特徴を分析したのは、昨年のWBCで戦略コーチを務めた橋上打撃コーチだった。「キューバ選手の特徴として、軸がぶれないことが挙げられる。セペダは中でも、トップランクで、変化球への対応も十分にできる。左右の打席ともクセが全くなく、無駄のないスイングをする。中距離タイプに分類されるが、日本の球場サイズなら本塁打も出ると思う」と太鼓判を押した。WBCでの日本戦の通算打率は4割。東京ドームには驚きと歓迎の輪が広がった。【久保賢吾】

 ◆フレデリク・セペダ

 1980年4月8日、キューバ生まれ。11歳で世界少年野球(千葉)に参加。王貞治氏と写真を撮影。02年からキューバ代表入りし、アテネ五輪では金メダル、北京五輪では銀メダルを獲得。06年第1回WBC決勝で藤田(ロッテ)から本塁打。09年第2回大会では松坂(現メッツ)、藤川(現カブス)から安打を放つなど、大会通算12安打、3本塁打、打率5割でベストナイン外野手に輝いた。13年第3回大会は4番DH。WBC通算20試合に出場し、打率4割4分9厘、6本塁打、23打点。日本戦通算打率4割。178センチ、93キロ。右投げ両打ち。