<阪神7-5ヤクルト>◇19日◇甲子園

 聖地1号は140メートル豪快弾だった。阪神マウロ・ゴメス内野手(29)のバットが5点差逆転勝利を呼び込んだ。5回、ヤクルト石川から左翼席へ同点2ラン。3回も反撃の適時打を放つなど4打数3安打3打点と暴れた。開幕からの連続試合出塁は20に到達。頼れる大砲は初のお立ち台で「オオキニ!」と叫び、虎党の心をつかんだ。

 ゴメスがバットの先端で豪快に捉えると白球は高く高く舞い上がった。上空から落ちてこない。左翼を守るバレンティンは客席を見向きもしない。滞空時間の長い放物線に大観衆も酔いしれた。2点を追う5回1死一塁。石川の外角シンカーを振り抜く。同点の2号2ランに「甲子園での1発は気分いいね。同点に持っていける本塁打だし、チームにとっても大きい。配球どうこうよりも打てる球を打つ意識だけ。格別だよね」とご満悦だ。

 2回に右前打を放ち、3回には外角低め変化球を捉えて中前適時打を記録した。3打席目に甲子園初アーチ。3安打3打点の大暴れで、開幕から20試合連続出塁だ。和田監督も「ひょっとしたら、というか打ってくれと思った。ここ何試合か打球が上がるようになっていたので、いつでも(本塁打が)出る状態だと思っていたよ」とうなった。

 17日広島戦で来日1号を打ったばかり。適応力の高さが安定感を生む。この日は打席で構える際、従来よりも左足を開いて立った。「わずかなことだけど一番打ちやすいところを探している」。左足の工夫はまだある。「シュートなどを多く投げる投手のときだけ着けるよ」と、自打球を防ぐレガーズをほとんど装着しない。左足は間合いをはかるポイントで、装着感がないほど動きを妨げない。何より、ミスショットしない自信の表れだろう。

 セ・リーグ5球団とひと回り対戦し、情報もインプット。石川とは2度目の対戦だった。「1回対戦して、どういう球を投げるか分かれば打席で楽に立てる」。甲子園7連勝で貯金4。安定して戦う猛虎に新たな「武器」が加わった。目覚めた新助っ人がバズーカ砲をぶっ放せば、強い推進力になる。【酒井俊作】