<阪神7-5ヤクルト>◇19日◇甲子園

 ルーキーが甲子園の雰囲気を変えた。阪神ドラフト4位梅野隆太郎捕手(22)が甲子園初出場で初長打に好リード。5点差をひっくり返す逆転劇を導いた。

 5点ビハインドの3回1死満塁からマスクをかぶった。その裏の打席。石川の外角直球を思い切り振り切り、中堅フェンス直撃の二塁打。プロ初長打をマークした。

 「最近、代打での出場が多かったので、マスクをかぶったリズムもあったと思います。その中でしっかり振り抜けました」

 この一打が残像に残ったのか、その後の打席はストレートの四球、さらに6回は敬遠気味の四球。まるで強打者のように勝負を避けられた。指揮官も「あの梅野のツーベースがあって球場の雰囲気、流れが変わった」と名前を真っ先に挙げた。

 楽天中島、阪神柴田、広島安部らを育てた名将も一目ぼれした打撃だ。福岡工大城東時代の恩師で現在は東海大五監督の杉山繁俊氏(57)は、プロを目指せる才能を見つけると、練習では低学年から木製バットを使わせた。梅野もその1人。先輩たちに交ざって毎日振った。みるみるうちに才能は開花。振り切る力は、プロでの礎になっている。

 扇の要の仕事も全うした。金田、加藤、安藤を好リード。スコアボードに0を並べた。「常に勉強だけではなく、技術練習もしていた。そういう積み重ねだと思う」。試合に出られないときも、努力を怠らない。打撃でもリードでも投手を助ける。【宮崎えり子】