<ヤクルト3-6広島>◇23日◇神宮

 広島ベテラン勢が底力を見せた。相手のミスで先制した直後の1回表1死一、二塁、35歳広瀬純外野手が八木の外角直球を右中間最深部まで運んだ。この2点二塁打がナインに勇気を与えた。

 「キラの代わりはできない。1人1人が立場を認識して、今できることをやるだけ」。前日22日ヤクルト戦で背中に死球を受けたキラが、出場選手登録を抹消された。代わって5番を任されたのが広瀬だった。4点リードの3回1死では左翼席に今季1号をたたき込み、全員野球を体現した。

 5点リードを2点差まで追い上げられた6回、今度は33歳梵英心内野手だ。先頭で2番手阿部の外角直球を右翼席まで届かせた。「結果を残さないといけない立場なんで」。試合前の時点で打率2割ジャストと不振に陥っていたが、今季2号ソロで力強く流れを引き戻した。

 広瀬は開幕から11打席連続無安打と苦しみながら、もう打率を2割8分9厘まで戻している。若い力に注目が集まる中、「おっさんも元気だというところを見せたい。若い人にプレッシャーをかけられるようにやっていきたい」と笑顔だ。4カード連続勝ち越しを決め、貯金は今季最多の9。さりげなくベテランが若手を支えている。カープの強さは本物だ。【佐井陽介】