ソフトバンク吉村裕基外野手(29)が低調な打線のカンフル剤となる。右大臀(だいでん)筋肉離れで出場選手登録抹消された内川に代わり、今日28日に今季初昇格。いきなり古巣DeNAと対戦する。相手先発は左腕尚成だけにスタメン起用の可能性も十分ある。最近5戦で11得点と湿りがちの打線に、吉村が恩返しの「12球団制覇弾」で景気づけを図る。

 好調の長距離砲がソフトバンク打線に加わる。今季初めて1軍昇格する吉村だ。「チームの力になれるように頑張りたい。今まで通り、下でやってきたことを出すだけ。やることは一緒なので」。雁の巣でウエスタン・リーグ阪神戦に出場後、横浜に向け機上の人となった。

 打線に活を入れられる存在だ。石渡茂2軍監督(65)は「調子がいい。技術的にも精神的にも安定している。ちょうどいい時に1軍に呼ばれたと思う」と太鼓判を押した。この日は2打数無安打ながら、それまで5試合は14打数6安打の8打点と上げ潮状態で合流する。

 移籍1年目だった昨季DeNA戦は横浜で四球の1打席のみ。「恩返しはしたい。ファンに元気な姿を見せられたら」と話していたが消化不良に終わった。「今の自分にそんな余裕はない」と今回は古巣への意識はない。昨年4月27日ロッテ戦は出場選手登録、即スタメンの移籍初打席に駆けつけ1発の実績がある。

 じくじたる思いがあっただろう。打率1割台、5本塁打に終わった昨オフの契約更改。きっぱり言った。「もうすぐ30歳になる。レギュラーを取って、笑われるかもしれないが本塁打王のタイトルをとりたい」。ふたを開ければ戦力補強のあおりも食って開幕2軍となった。2カ月が過ぎ、捲土(けんど)重来のチャンスが巡ってきた。

 通算116発。昨年の交流戦でも巨人相手に効果的な1発を見舞った。離脱後2敗1分けという“内川ショック”を振り払うだけのパワーを秘める。大道2軍打撃コーチからは「悔いを残さないように」との言葉で送り出された。追い風を吹かせ、ハマ軍団の撃破に貢献する。【大池和幸】

 ▼吉村がDeNAから本塁打を打てば12球団から本塁打となる。ヤクルト相川が今年3月29日DeNA戦で記録して以来、プロ野球28人目。ホークス在籍中の達成は、多村(09年6月2日横浜戦)、内川(11年6月19日横浜戦)についで3人目。