<DeNA2-4日本ハム>◇25日◇横浜

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、アクシデントにめげず、チームトップの7勝目を挙げた。3回、DeNA金城の打球が左手首付近に直撃したが、テーピングをして7回4安打2失点。6回、バルディリスを二ゴロに仕留めた際、4戦連続の160キロをマークした。月間MVP候補にも挙がる6月は、受難続きでも3勝の奮闘だった。

 氷嚢(ひょうのう)だらけの体で、勝利の輪に加わった。右肩、右ひじに加え、左手首。大谷はアクシデントを乗り越え、7勝目を手にした。「(調子は)今までの中だったら下の方。その中で粘れたのはよかった。(患部は)大丈夫です。明日腫れるかな…」。1度だけ、表情をゆがめた。

 手首を負傷したのは3回だ。金城への155キロ直球がミートされ、痛烈なライナーとなって返ってきた。瞬時にグラブを出したが、間に合わない。左手首内側に激痛が走った。足元に落ちたボールを拾い上げて投ゴロとしたが、治療でいったんダッグアウトに下がった。戻ると、患部にはテーピングがされていた。

 自身の負傷に加え、2回にはけん制球をバルディリスの首に当ててしまい、少なからず動揺もあった。制球はばらつき、2四球。直球でも空振りが奪えず、蒸し暑さと重なって疲労度は増した。6回1死一、二塁のピンチには、DeNAグリエルに152キロ直球を右翼フェンスまで運ばれた。今月11日巨人戦以来、19イニングぶりの失点。「(グリエルは)雰囲気があったし、すごいなと思った」。自慢の直球。悔しかった。

 だが、ここからが圧巻だ。2点差に詰め寄られ、なお2死三塁でバルディリス。「意図的に(ギアを)上げたりはまだできない」。体が勝手に、力を解放した。2球目。スピンがかかった外角への直球は、4試合連続となる、自己最速タイの160キロ。二塁ゴロに仕留めてリードを守った。

 「ラスト(イニング)だと言われていた」という7回も、わずか10球で3者連続三振。驚きは160キロの速球だけではない。この日最後の98球目。金城へのウイニングショットは、147キロの高速フォーク。バットはかすりもしなかった。

 4日の左足首捻挫、右ふくらはぎをつった11日、18日に続き、体を痛め、それでも手にしたチームトップの7勝目。「1人で投げ抜いているわけじゃないし、中継ぎにも打線にも助けてもらってる。勝ち負けは運もある」。目標はもっと上。喜ぶことはない。【本間翼】