男は踏まれても、踏まれても、力強く立ち上がる。巨人村田修一内野手(33)が28日、再出発へ決意を示した。前日27日の中日戦(ナゴヤドーム)は不振によるスタメン落ちで連続試合出場が676でストップ。大阪入りしての全体練習では打棒復活へ、150メートル弾をぶっ放した。巨人移籍後、原監督からの厳しいハッパには、劇的な活躍で応えてきた。今日29日からのDeNA戦(京セラドーム大阪)で男を上げる。

 さまざまな思いを背負って村田が黙々とバットを振った。打球は京セラドーム大阪の5階席に2度も飛び込んだ。レフト後方への推定150メートル弾には、橋上打撃コーチも「おおっ!」と、のけぞるほど。約50スイング中7本の柵越え。09年シーズン途中から続けてきた連続試合出場が止まったが、一夜明け、再スタートを切るように練習に励んだ。「やり直す、というより、また明日から自分らしく頑張ります」。多くは語らない。だが決意が、にじんだ。

 村田の強みは踏んでも折れない心にある。巨人移籍3年目。試合中に強制帰宅を命じられた時も、初回で交代させられた時も、必ず結果を出して見返してきた。今年も6月21日のソフトバンク戦で代打を送られたが、翌22日の同戦で本塁打を含む4打点の活躍で交流戦優勝へ導いた。かつて指揮官の厳しい姿勢について聞かれ「監督のやり方は分かる。怒りより、自分に対しての歯がゆさを感じた。でもそれは自分で切り替えるしかない」と受け止めてきた。

 原監督は報道陣と雑談しながら、練習を見守った。村田の打撃練習になると、少し口数が減った。村田についての質問には「固有名詞は今日はいいんじゃないか」と、やんわり封じた。ただ、長野と並んで打つ姿に「日大の校歌を流した方がいいな」と目を細めながら、2人の母校を挙げ、奮起を期待した。

 後半戦5試合で15打数2安打。通算300号に王手も49打席ノーアーチで足踏みが続いている。厳しいスタメン落ちも重なり、土俵際に立たされた格好だ。原監督は雑談の中で人生論を説いた。「過去と人は変えられない。でも未来と自分は変えられる」。変わってみろ-。男村田の変貌を待つ。【広重竜太郎】

 ◆村田ど根性メモ

 12年9月7日のヤクルト戦で2打席凡退後、2回の守備で懲罰交代。翌日、丸刈りで気合を入れた。シーズンは12本塁打で終えたが、中日とのCSファイナルステージで2本塁打を放ち、突破に貢献した。13年5月26日のオリックス戦では失策を犯し、1打席目の三振後に1回終了時で交代。悔しさを糧に、8月にリーグ新記録の月間46安打を放った。今季は6月21日のソフトバンク戦で4番ながら、代打を送られ、翌日の試合で2安打4打点と暴れた。