<巨人1-9DeNA>◇29日◇京セラドーム大阪

 首位巨人が波に乗れない。DeNAとのカード初戦で攻守に精彩を欠き、大敗した。先発沢村拓一投手(26)が5回途中までに12安打7失点でKOされた。攻撃陣も高橋由伸外野手(39)を今季初めて4番に据えて臨んだが、長野の1発による1得点に終わり、久保に今季対戦で3敗目を喫した。6カード連続でカード初戦を落とし、4位中日まで4・5ゲーム差以内と混戦に拍車がかかってきた。

 「関西のファンに申し訳ない」。本当に申し訳なさそうに言った川口投手総合コーチの言葉が端的だった。巨人は攻守に見どころなく、6カード続けて初戦を落とした。

 沢村-阿部のバッテリーが、あれよと主導権を握られた。1回2死三塁、DeNAの4番ブランコをカウント1-2と追い込んだ4球目だった。フォークボールがワンバウンドし、暴投で生還を許した。沢村は若いカウントの直球をとことん打ち返された。降板した5回まで、毎回先頭に安打された。4回1/3で被安打12、7失点。後半戦の開幕を託された本格派は、2軍での再調整が決まった。

 相手先発の久保は、今季DeNA戦9試合目にして、5度目の顔合わせだった。点差をバックにノビノビ投じてきた。4番の高橋由が2個、5番アンダーソンも1個、死球を受けた。久保は与死球が10個となりリーグ最多、うち巨人が5個を占めた。相変わらずひょうひょうと散らす中に、すれすれの内角と、超高速のクイックをまぶされた。屈辱の力勝負に切り替えられた7回、長野の本塁打で完封阻止が精いっぱい。FA右腕に3敗目を喫した。阪神メッセンジャーに岩田、ヤクルト石川、久保。球種多彩な投手に複数敗戦…。大きな宿題ができた。

 原監督は「沢村の良さが出なかった。フォローのしようがありませんね。打線も。明日、いいところを出せるように頑張ります」と振り返るしかなかった。沢村-阿部が記録した3暴投については「あのくらいのワンバウンド、もあった。共同作業で、止められるものは止めてほしい」と注文した。阪神、中日は故障者が出ている。広島は調子に波がある。巨人が立て直すのは、ライバルも決め手を欠く今だ。

 6月下旬から、阿部、小林の捕手2人制を敷いてきた。沢村に代わり、経験豊富な実松を呼ぶ。捕手3人制のオーソドックスな形に戻し、阿部の負担を軽減する。調子をすぐに戻せるほど甘い世界ではない。堅守を軸とし、一丸で勝ってきた原点に立ち返る。【宮下敬至】

 ▼巨人は9日DeNA戦から6カード連続でカード初戦に黒星を喫した。巨人が6カード連続で初戦を落としたのは11年7~8月に記録して以来3年ぶり。カード初戦の連敗が始まるまでは44勝29敗だったが、9日以降は5勝9敗と貯金を減らしている。