<ロッテ4-6日本ハム>◇29日◇QVCマリン

 キューバから来た助っ人は、勝利にこだわった。ロッテの新外国人アルフレド・デスパイネ外野手(28)は自分の打撃内容は意に介せず「最初にしては良かったけど、勝てたゲームなので、負けたことが悔しい」と、唇をかんだ。

 勝利にこだわる姿勢は打撃内容からも見て取れた。1点を追う8回1死一、三塁。デスパイネは犠飛を狙いにいった。「右方向にフライを打とうと思った。そこは狙いどおりにできた」。個を捨て、チームのための野球ができる選手だということを証明した。

 「自分の武器は適応能力だ」と言う。入団会見の翌日にはクルーズらとともに、海浜幕張駅から電車に乗った。武蔵野線に揺られて西武ドームへ。初めての体験にも動じない強さがある。そして、野球に関しては妥協しない探求心もある。キューバにいた時から、ビデオや雑誌で予習を重ねてきた。チームメート、相手投手、千葉の風が夜に強まることまで知っていた。準備は入念だった。

 来日初打席では、中堅方向へ高々と上がった打球が途中で消えた。中堅手の陽も中継のテレビカメラも見失う珍事。一瞬の後、ボールは右中間に弾んだ。幸運な三塁打も手ごたえはあった。「このままやってきたことを出したい」と自信を深めた。フルスイングもボールの見極めも、初戦にしては十分にできた。伊東監督も「慣れてくれば打てる雰囲気を持っている」と太鼓判。本領発揮の日は近いはずだ。【竹内智信】