<楽天4-10ソフトバンク>◇29日◇郡山

 郡山のファンに、大敗をさらしてしまった。楽天はソフトバンク戦で投手陣が打ち込まれた。今季ワースト19被安打で10失点。借金は今季最多の16に増えた。東北の地方球場での主催試合は今季3試合目だったが、これで3連敗。今日30日の山形の試合で一矢報いるしかない。

 負けても、郡山の人たちは温かかった。球場正面に停車していたチームバスの前には、楽天の選手を一目見ようと大勢のファンが集まった。先発で3敗目を喫した青山浩二投手(30)が現れると、ヤジはなく、声援しか飛ばなかった。年に1度の主催試合で白星を届けたかった。

 投手陣が失点を重ねた。青山は2回1死から5連打で3失点。1回にもらった1点のリードを、あっけなくはき出した。6回1死からも2連打で1点を失い降板すると「高さの修正ができなかった。それに尽きます」と肩を落とした。打たれた球は多くが高かった。球威よりも、低めへの制球で勝負する。1回は3者凡退に抑え、本人も「調子自体は悪くはなかった」と手応えがあっただけに悔やまれた。打線も4回以降は追加点なし。ソフトバンクの強さだけが目立った。

 ふがいない試合にも、1万2818人を集めチケットは完売。4度目を迎えた開成山球場での主催試合で、過去最高の観客動員を記録した。試合前には、選手も一肌脱いだ。銀次が、招待された浪江町出身の子どもたちと触れ合った。聖沢、岡島、島内、西田は来場者と握手した。アンドリュー・ジョーンズ外野手(37)も急きょ、子どもたちとの記念撮影に参加。ジョーンズに触れ、みんなが大はしゃぎだった。昨年までは地元企業に興行権を販売していたが、今年は自主興行。球団も、来場者プレゼントやイベントで尽力した。雰囲気は、とても良かった。ただ、勝ち星を欠いた。

 選手会長の藤田一也内野手(32)は2安打1犠飛と気を吐いたが「声援はすごかったけど、良い試合を見せられなかった」と表情は硬かった。5月17日の西武戦(秋田)は0-7。同18日の同戦(盛岡)は2-12。そして、この日の郡山。なぜか、仙台を離れると大敗だ。今日30日は、山形で戦う。今年最後の地方ゲーム。藤田は「勝てるように頑張りたい」と誓った。負けたまま、仙台には戻れない。【古川真弥】