<楽天0-3ソフトバンク>◇30日◇荘銀・日新スタ

 山形でも負けた。楽天はソフトバンクに0封負けで3連敗。先発した松井裕樹投手(18)の好投を、打線が援護できなかった。借金は今季最多の17となった。借金17は、ブラウン前監督時代の10年にシーズン最終戦で敗れ記録して以来だ。今季は、仙台以外の東北での主催ゲーム(秋田、盛岡、郡山、山形)は4戦全敗で終わった。

 銀次内野手(26)は唇をかみしめ、仙台へ戻るバスに乗り込んだ。「昨日もそうだけど、これだけお客さんが入ってくれたのに勝てなかった。申し訳ないです」。年に1度の山形での試合だった。球団創設以来4度目の同地での主催試合で、初めてチケットが完売。1万7170人を集めたが、白星は届けられなかった。

 5回までは見応えたっぷりだった。松井裕とソフトバンク飯田の投手戦。ともに0を並べたが、6回表に均衡が破れた。2死から松井裕が四球を出し、味方の失策が続いて一、三塁。最後は内川に右中間へ2点二塁打を打たれた。一方で、楽天打線は初対戦の飯田を崩せなかった。銀次は2回先頭で二塁打を放ち「直球とスライダーだけなので絞りやすかった」。だが、1人だけ打っても点は入らない。3連敗で借金17。4年ぶりの屈辱が残った。

 銀次は地方試合の意味を知っているから、余計に悔しかったのだろう。岩手・普代村出身で、毎年、高校時代を過ごした盛岡での試合に出ることを励みにしている。おらが町に年に1度やって来るプロ野球を、地元ファンが、どんなに楽しみにしているか。肌で分かっている。球団も「今日は山形イーグルスとして戦います」と、来場者に呼び掛けていた。中堅後方バックスクリーンのスコアボードには、「東北楽天イーグルス」の代わりに「山形イーグルス」と表記した。だが、秋田、盛岡、郡山、山形の“みちのくシリーズ”は全敗で終わった。

 星野仙一監督(67)は淡々としていた。松井裕について「良い球を投げていた」。ただ、こう続けた。「でも、0点じゃ勝てない」。当然だ。飯田に2三振と援護できなかったジョーンズは「松井がしっかり投げてくれたのに。必要な時に必要なヒットを打てなかった」と申し訳なさそうだった。このまま、負け込んだままシーズンを終われば「東北」の冠が泣く。【古川真弥】