<阪神1-8ヤクルト>◇7月31日◇甲子園

 こんな最速はありがたくない。阪神のエース能見篤史投手(35)が両リーグ最速の10敗目を喫した。1回。4番バレンティンに豪快な先制20号2ランを浴びた。高めに抜けたスライダーを、バックスクリーンに運ばれた。

 能見はその打球の行方に目も向けず、次に投じるボールを受け取った。「失投と言えば失投。(2回以降は)修正して低めにいくようになった。0に抑えていないとなかなかね」と足早にクラブハウスへ引き揚げた。

 3回にも1死満塁のピンチを背負ったが、畠山を二ゴロ併殺でしのいだ。4回から6回はパーフェクトで、援護がない中で試合をつくった。だが7回、2死から投手村中に中前打されたのをきっかけに、暴投も絡んで最後は谷内に中前打。痛恨の3点目を失った。9三振を奪っても、復調の印象は残せなかった。

 5月24日ソフトバンク戦での5勝目を境に、1度も勝っていない。6月14日西武戦から全試合で試合序盤に失点し、ついに6連敗で2桁の黒星。6月29日中日戦では1回にルナの3ランを含む8失点と大炎上。左脇腹に違和感を訴え、翌30日に出場選手登録を抹消された。「去年だったら投げていたんだけどね」。あえて登板間隔を空けて調整に励んだが、白星は近づいてこない。

 和田監督は「そこが勝たんことにはね。何とか状態を上げて欲しい。全然悪いとか、そういうことじゃないんだけど。勝ち星がつかんことにはね」とエースの復調を願った。勝利へ導くピッチング。逆転Vを目指すためにはエースの力が必要だ。【宮崎えり子】

 ▼阪神能見が12球団最速で10敗目。シーズン2桁敗戦は12年の10敗(10勝)に続き2度目。そのシーズンは9月22日の中日戦で10敗目を喫した。阪神投手の両リーグ最速10敗は12年7月28日の岩田以来。