<巨人2-2広島>◇1日◇東京ドーム

 巨人村田修一内野手(33)が選ばれし者の領域に足を踏み入れた。80年の球史で40人しか到達していない記録を達成した。5回無死。広島前田健の130キロ外角スライダーを捉えた。高い放物線がバックスクリーンへ描かれる。7月5日の中日戦以来、59打席ぶりの12号ソロで、通算300号に達した。

 村田

 (300号に)時間がかかった。いい投手から打てたことが本当にうれしい。ずっと意識しないでいたが、打てなかったので早く出てほしいと意識するようになった。毎日、花束を準備してくれた関係者の方に感謝している。少し楽になれた気がします。

 表情が大きく崩れることはなかった。7月の月間打率は2割1分2厘。7月27日の中日戦は先発からも外れ、連続試合出場記録が676で止まった。その現状では記録の余韻に浸るつもりはなかった。

 記録よりも本塁打そのものへの、こだわりが強い。「あの1本は忘れられない」。横浜時代の07年10月の広島戦で引退登板の佐々岡と相対した。空気を察すれば勝負には徹せることはできない。だが初の本塁打王へのタイトルがかかっていた。意を決して放った36号は栄冠をもたらした。当時、複雑な思いから涙を浮かべたが、誓いを新たにした1本だった。「ああやって打ったからこそ、これからもホームランにこだわらないといけない」。信念を抱き、アーチを描き続けた。

 チームは引き分け、自身も後の結果は続かなかった。「月の頭に1本が出て区切りになった。また気を引き締めて頑張りたい。40人だけ?

 自信を持って頑張りたい」。村田はこれからもホームランとともに生きていく。【広重竜太郎】

 ▼通算300本塁打=村田(巨人)1日の広島12回戦(東京ドーム)の5回、前田から今季12号を放ち達成。プロ野球40人目。初本塁打は横浜時代の03年4月2日巨人2回戦(東京ドーム)で高橋尚から。