<中日6-0阪神>◇5日◇ナゴヤドーム

 マサか…なんて言ってる場合じゃない!

 阪神は、今季初登板の49歳山本昌に5回無失点とひねられ、最年長勝利を献上。屈辱感にまみれた。巨人の優勝マジックが一夜で消滅したのに、ストレスしかたまらない今季10度目の0封負け。広島に抜かれ、またも3位に転落した。引き立て役で終われるか。意地を見せてくれ!

 

 重苦しい敗戦だった。攻めれば、攻めるほど重くなる。そんな試合だった。試合後、和田豊監督(52)は会見場にやってくると、顔をしかめて第一声を絞り出した。

 「主導権、握れんかったなあ…」

 猛虎打線が対したのはプロ野球最年長登板記録の山本昌だった。初回、上本が中前打で出塁すると、盗塁と犠打で1死三塁とした。打席には鳥谷。先制点を奪いたいベンチはここで「当たりゴー」の作戦をとった。だが、打球は前進守備の二塁荒木の正面へ。本塁突入の上本はタッチアウトとなり、先制機を逃した。

 「アウトになるにしても、もう少し、いいスタート切れるんじゃないかな」

 和田監督が悔しがった。このプレーを皮切りに虎のもがきが始まった。結局、山本昌には5回無失点に封じられた。毎回走者を出したが、走者を出すとさらに慎重に、繊細になる相手の前に決定打が出なかった。

 「押してはいたんだけど、もう1本が出ない中で焦ってしまった」

 指揮官が表現したように完全に49歳左腕のペースに引きずりこまれた。ただ、降板した直後の6回には祖父江から相手失策とヒットで無死一、二塁のチャンスをつくった。ここでベンチは6番新井貴で強攻策に出るが、空振り三振。続く狩野には代打今成を送ったが、力ない左飛。8番鶴岡は捕手2人制のためか、代打を送らずに見逃し三振…。最大のチャンスもあっさりと消滅した。和田監督が振り返る。

 「きょうは攻めたけど、だめだった。(新井貴には)進めるというより、かえす打撃をしてほしい。そういう勝負に出た。そこはこっちの責任。(鶴岡は)捕手2人だから、そう簡単に代えられない中で選択した」

 8残塁の末に、スコアボードには「0」が9個並んだ。山本昌に通算48個目の白星を献上した。一夜にして3位転落…。巨人が敗れたためマジックが消滅し、ゲーム差は変わらない。ただ、虎がラストスパートをかけるタイミングはとっくに訪れている。それでも、猛虎の足は前に進まない。走ろうとすれば、するほど進まない。今のチーム状況を象徴するような敗戦だった。【鈴木忠平】