<日本ハム5-0オリックス>◇15日◇札幌ドーム

 日本ハムの中田翔内野手(25)が、しぶ~い“秘打”で自己超えを果たした。オリックス戦の4回1死二、三塁、打球と折られたバットを三塁方向へ飛ばす珍打撃で相手野手を翻弄(ほんろう)。貴重な中押し点となる適時野選を誘い、シーズン自己最多を更新する、92打点目を挙げた。リーグトップ独走中の打点をしっかり積み上げ、プロ初完封勝利の上沢を後押した。

 打球の後を追うように、折れたバットが三塁線で弾んだ。4回1死二、三塁。5球ファウルで粘った末の9球目。内角低めの132キロ変化球をフルスイングした中田だが、鈍い音が響いた。バットはグリップ付近から真っ二つ。打球は三塁線へのゴロ。折れたバットも迫る。ゴロを処理したオリックス・ヘルマンの本塁送球がそれ、三塁走者の西川が生還する適時野選となった。「三振が一番嫌だったから最低限、前に飛ばせて良かった」。一塁まで全力疾走した主砲に、打点1が記録された。

 満身創痍(そうい)の体で、打点を積み上げてきた。右太もも裏に不安を抱えていた6月中旬。痛みを押して試合に出続けていた中田が査定担当の五十嵐信一氏(55)に、かわいくお願いした。「ちゃんと査定してくださいね。期待しています」。オフの契約更改で年俸アップの要素となる査定ポイント。おねだりしてみたが、同氏からは「お前みたいな一刀流には出せないよ」とバッサリ。二刀流の大谷を引き合いに冗談めかした返答に苦笑いも、結果でアピールし続けた。

 リーググトップの打点に加え、本塁打数も昨季の自己最多28本に、あと3本と迫っている。左膝痛にも悩まされながら、過去最高も視界にとらえる数字を残す。「そういうのは、考えていない。試合に勝てればいい」。おとこ気あふれる思いを体現すれば、シーズン中におねだりしたようなバラ色のオフが待っているはずだ。【木下大輔】