オリックス金子千尋投手(30)が、来季メジャーへ移籍する可能性が出てきた。27日に神戸市内の秋季練習に参加。直前まで米ワールドシリーズ観戦のため渡米、刺激を受けて帰国した。球団は残留を求めているが、現段階でメジャー移籍に必要なポスティングの可能性も否定していない。金子は侍ジャパンの日米野球(11月12日開幕)でメジャー打者を体感したうえで決断する構え。この日、栄えある沢村賞にも選ばれた右腕の動向が注目される。

 金子が、初めて生観戦したワールドシリーズで、メジャー挑戦への思いを刺激された。「球場の雰囲気は好きです。あこがれの場所でやってみたい気持ちは変わらずに持っています」。22日に渡米し、サンフランシスコで第3戦を観戦。プロ入りしたころには、縁のない世界だと思っていたが、他の日本人選手が次々と海を渡り、彼らの活躍をテレビ中継を通じて見る機会が増えた。自身もオリックスのエースに成長。メジャーのスカウトが視察に来ているという声も耳に届くようになった。

 金子

 毎年こういうチャンスがあるとは思えないし、チャンスがあるということはそういう選択肢(メジャー移籍)も頭の中には出てくるので。

 金子は今季、国内FA権を取得したが、海外FA権取得は来オフになる。来季メジャーに挑戦するには、球団がポスティング移籍を容認しなければならない。球団には昨年の契約更改時に「結果次第ではと言ったかも」と自身のメジャー志向は伝えており、代理人も用意しているという。

 瀬戸山球団本部長は「残っていただきたいと考えているので、今後話し合いの場を設ける予定です」と話した。球団は3年最大15億円の複数年契約を用意し、残留に全力をあげる方針だが、ポスティングを認めないと断言もしていない。

 金子は「行くならポスティングしかないが、今の時点で100%それを考えているわけでもない。今年は日米野球があって、向こうの打者と対戦する機会があるので、それが終わってから考えたい」と話した。メジャーの打者を体感し、熟考したうえで球団にメジャー挑戦を訴えるかどうか決断することになりそうだ。

 この日、沢村賞の受賞が決定。球団初の快挙に「目指すところでもあった。うれしいです」と笑顔を見せた。投手最高の栄誉を手にした右腕が、どんな決断を下すのか注目される。