2015年のタイガースはオレが支える。プロ3年目でますます期待される阪神藤浪晋太郎投手(20)が新春から頼もしい激白だ。たっぷり語った、エースへ成長する意気込み。絶対的な信頼感を追い求め、若さやキャリア不足を言い訳にせず、誰もが認める投手陣の柱へ。創設80周年のタイガースに、藤浪という太い柱がそびえ立つ。

 そろそろ、逃げ道の入り口を封鎖したい。20歳だから、高卒3年目だから…。フォローや慰めの言葉を、藤浪は喜ばない。

 藤浪

 言い訳したくないんです。若いからとか、何年目だからとか。そういう目で見られていること自体、自分はまだまだ甘い。

 昨季はローテを崩さず、2年連続2ケタ勝利となる11勝。今季は大黒柱の重責を堂々と背負う覚悟だ。

 藤浪

 3年目なんで自立しないと。15勝までいかなくても13、14ぐらいまではいかないといけない年だと思う。去年はいちローテ投手と言ってもらった。そこに、藤浪なら大丈夫、と絶対的信頼がつくように。

 今オフは「藤浪がタイガースを支えていると言ってもらえるように」と誓い、開幕投手候補の立場を受け入れた。高卒3年目はエースの結果を求められて当たり前、という認識だ。

 藤浪

 タイガース投手陣はすごく優秀。能見さんに岩田さん、メッセンジャー…。いい先発、いいリリーフがいる。その中でエースとなるとレベルが高い。特にメッセンジャーを上回ろうと思ったら相当なモノ。簡単には言えない。でも、もちろん目指すところではある。その3人から奪いにいくぐらいの気持ちでいかないと、活躍できない。

 昨季はゲーム終盤に崩れるケースも目立った。安直にスタミナ不足を指摘する声は当然耳に入っていたが、本人の考えは違う。

 藤浪

 技術的な問題だと思う。バテた感覚はなかったし、実際球速も落ちていない。3、4巡目で相手が慣れてきた時、力勝負だけの投球スタイルでは抑えられなかったということ。もっと低めを丁寧に突くとか、もっとゴロを打たせられるようにするとか、そういう技術、抑える術が自分になかっただけの話。オッと見逃させるとか、タイミングを外すとか、苦しい場面で大事にストライクを取るとか。1球ポンと置きにいってもいいところに気付く嗅覚とか。そういう感覚、技術がなかっただけです。

 言い換えれば、投球術をみがき、経験値を増やせば、結果はついてくるということだ。今後は投球の幅を広げるため、「直球二刀流」も視野に入れる。

 藤浪

 (シュート気味に動く直球は)武器であり弱点でもある。(きれいな直球と)両方をうまく操れればいいですよね。伸び上がるストレートと、シュートしてピュッと落ちるボールと。ある場面では少々ボールが動いてもいいからリリースをむちゃくちゃにして、コントロールしたい時はスッときれいなボールをアウトローにとか、そういうイメージ。使い分けをできれば一番強いと思うので。

 どこまでも貪欲。「投手は基本、完璧主義ですから」。そんな藤浪の理想像はやはり万能投手2人だ。

 藤浪

 すごいなと思う投手は、自分が投げ合っていやだなと思う人。相手打線もマエケンさんや(金子)千尋さんに当たったら、すごくいやじゃないですか。勝てるかな、ああ今日は厳しいかなって、そう思わせられる人です。それぐらいの投手は仲間からの信頼もある。自分はまだまだ。タイガースの中だけでも絶対的信頼を置いてもらっているかと言えば、そうでもないですし。

 オリックス金子、広島前田。侍ジャパンのエース格だ。藤浪が描く未来予想図では、いつ自分を2人のような日本代表エースに到達させるのだろうか。

 藤浪

 20代中盤とか、それぐらいですかね。あと5、6年あるんで。それまでには、そういう投手になっていたい。自分はそんなに成長スピードが速いタイプではない。センスがないのは自分が一番分かっている。不器用で人より時間がかかるタイプなんで、人よりやらないといけない。

 冷静に自分を客観し、その都度、進化に必要なアイテムを取り入れられる。藤浪の成長曲線は15年も、右肩上がりに違いない。【取材・構成=佐井陽介】