ソフトバンク松坂大輔投手(34=前メッツ)が、マーリンズ入団が決まったイチローに日本での復活を誓った。29日、福岡市の西戸崎合宿所で自主トレを公開。ランニングやキャッチボールで汗を流した。キャッチボールでは変化球も投げ、9年ぶりとなる日本でのキャンプインに向け順調な調整ぶりを披露した。

 松坂はイチローの新天地が決まったことを心の底から喜んだ。「自分のことのようにうれしかった。いろんな見方がありますが、レギュラーと変わらない成績を残されると思います」。イチロー本人から移籍決定後に連絡があったという。

 昨年末にはイチローと国内で直接会い、9年ぶりに日本球界に復帰することを報告。「イチローさんには開口一番『相談なかったじゃないか』と言われました。プレッシャーもかけられました。(日米で)離れてもそう遠くは感じない。またいつか対戦してもらえるように日本でやらなければいけない」。プレッシャーの中身は明かさなかった。だが、まだメジャーで戦い続ける先輩に負けない輝きを日本で取り戻す。

 この日は、昨年12月5日の入団会見以来55日ぶりの姿とあって、テレビカメラ8台、70人の報道陣が追いかけた。寒空の下、30分かけてじっくりキャッチボール。約60メートルの遠投の後、バッテリー間の距離で強めに44球投げた。その半分は変化球。カットボール、スライダー、カーブを試した。「気にせず投げられています」。NPB統一球への対応もできている。

 ここまで沖縄、米国など場所を変えながら調整。立ち投げも行っている。「2月1日にブルペンで投げられるようにしてきたが、1日には入らない。オーバーペースにならないようにしたい」。軟らかい日本のマウンドの感覚を取り戻すため、シャドーピッチングやキャッチボールなどでブルペンに入る機会を増やす。周囲のフィーバーぶりに惑わされず自分流で仕上げる。

 「1年間ケガなく働けば数字はついてくる。200イニングを超えられれば一番いいが、近づきたい。昔から先発完投という意識でやっている」。昨季チーム完投数はリーグワーストの7。05年に1人で15完投した右腕は、34歳になっても完投にこだわる。結果を残すことが、イチローへの最高のエールになる。【石橋隆雄】

 ◆イチローと松坂

 日本時代の99年5月16日に初対戦。新人松坂はイチローを3連続三振に封じ、「自信が確信に変わってきました」の名言を口にした。同年7月6日にはイチローが松坂からプロ通算100号。日本での対戦成績は34打数8安打、打率2割3分5厘。大リーグでは07~12年まで27打数7安打、打率2割5分9厘。