ブルペンでソフトバンク斬りだ!

 ロッテ涌井秀章投手(28)が「仮想ソフトバンク打線」をイメージしながら13日、今キャンプ最多の215球を投じた。涌井には昨季王者のソフトバンク打者がくっきりと見えていた。160球に達すると、ぼんやりと天井を見上げて言った。「じゃあ、中村から。サインはこういう感じで」。突然、ブルペンに「ソフトバンク打線」が登場。指1本が真っすぐで、2本がカーブ。ここまで投げていなかったスライダー、フォーク、カットボールのサインもつくった。

 投げ終えると、次打者を口にした。「じゃあ、次は柳田で」。仮想5番打者の3球目。内角高めの真っすぐが決まると、審判役を頼まれた落合投手コーチの「ナイスボール!」の声が響き渡った。6番松田も真っすぐ中心で三振に仕留めると、代打松中にはフォークの後、外の真っすぐで三振。味園ブルペン捕手のサインに2度大きく首を振る場面もあり、本番さながらのデモンストレーションだった。

 打者13人をイメージし1安打6三振3四球。涌井は「もともと第3クールで疲れている中で投げて体を張らしていこうと思った。ソフトバンク打線を想定したのは思いつき。先発をやる人はみんな開幕を目指しているもの」と、語ったが、チームが目指す開幕カードのソフトバンク戦3連勝、そして開幕マウンドを狙う強い気持ちに他ならない。

 伊東監督も「昨日150球投げて今日は200球だからね。去年と比較してかなり状態はいい。リーダー格として引っ張る気持ちが大きくなっている」と期待を隠さない。今日、明日の紅白戦での登板はなく実戦は18日のシート打撃を予定。215球は涌井の決意の表れだった。【和田美保】