<東京6大学野球:慶大6-4立大>◇第1週3日目◇11日◇神宮

 慶大が立大に競り勝ち、1勝1敗のタイとした。7回、3番山崎錬内野手(3年=慶応)の2ランで逆転。プロ注目の4番伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)にも2回に今季1号が飛び出すなど、14安打で相手投手陣を攻略した。早大は7-5で東大を振り切り、勝ち点1を挙げた。

 ネクストバッターズサークルで、伊藤の鼓動は高まっていた。1点差とした7回表2死一塁。「(山崎錬に)回してこい、って言っていたんです。でも(自分が)緊張していた」。勝敗を左右する場面に、大学NO・1スラッガーでもピリピリする感情を抱いた。目の前で飛び出した逆転弾。「ホッとした」と殊勲の男とガッチリと抱き合った。

 主将、そして主砲として臨む今季。2試合9打席で、はや3四死球とマークは厳しい。「(四死球は)チームに得なこと。自分がいかに崩されないか、自分を貫き通せるかだと思う」。自らのポイントまで引きつけること、ボール球に手を出さないことを徹底、ドッカリした存在感を醸す。

 そんな中、リーグ現役最多7号となる今季1号を2回に放った。日本ハム大渕スカウトは「打球がプロ。常に全力のスタイル、パンチの利いた打撃。稲葉がダブる」と、自チームの主軸の名を挙げ絶賛した。

 右翼へ豪快に運んだ一撃を「(3回に)逆転されて忘れてました」と笑う伊藤。主将として、自分の働きが勝利につながることを優先している。「勝ち点を取ることに集中したい」。勝負を決める今日の3回戦、伊藤がさらなる存在感を見せる。【清水智彦】