<東京6大学野球:早大23-0東大>◇第4週2日目◇2日◇神宮

 早大が1試合リーグタイ記録の26安打を放ち東大に圧勝、勝ち点2とした。初スタメンの中村奨吾外野手(1年=天理)が7打数5安打7打点と大暴れ。リーグ記録の個人1試合最多安打6、同最多打点8にあと1歩だった。

 早大打線が毎回安打、2回を除き毎回得点を積み重ねた。1試合26安打は68年春の法大、71年秋の慶大(いずれも相手は東大)に並んだ。40年破られなかった記録まであと1安打だったが、9回表1死から代打に投手の有原を投入。ベンチに野手は残っていなかった。岡村猛監督(56)は「(記録は)知らなかったなあ。もう1人野手がいれば」と苦笑いした。

 その猛打を呼び込んだのは、1番で初先発した中村だった。「先頭なんで思い切って振ることだけを考えた」と1回表にいきなり大学初安打を左前に放ち、チームに勢いを与えた。9回表2死の最終8打席目。本塁打が出れば、チーム安打の更新のみならず個人1試合最多安打6(過去2人)、同最多打点8(過去1人)、サイクル安打(過去6人)と多くの記録がかかっていた。結果は中飛。「サイクルだけ分かっていたけど、意識しないようにしていました」と振り返った。

 母校天理の先輩からもらった86センチのバットが、木製への対応を早めた。入学直後は立て続けに5本ほど折ったが「ヘッドが良く利く」と7月からこのバットを用いた。それまでより1センチ長いが、練習でも1度も折っていないという。

 5勝2敗で勝ち点2としたチームは、今日3日に明大が敗れれば勝率で首位に立つ。残すは法大、慶大と強敵。「日本一の大学で野球がしたくてワセダに入った」と言う中村が、春5位と低迷した早大の救世主となるか。【清水智彦】

 ◆中村奨吾(なかむら・しょうご)1992年(平4)5月28日、兵庫・三木市生まれ。みなぎ台小2年から投手、遊撃手として野球を始める。吉川(よかわ)中では三田ヤングに所属。天理高では2年夏から3季連続甲子園を経験した。3年夏は3番三塁手。遠投100メートル、50メートル走は6秒2。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄。血液型A。