3年1組、二神先生!

 阪神にドラフト1位指名された法大・二神(ふたがみ)一人投手(4年)が10日、高知市内の母校・高知高を訪問し、ドラフト指名の報告を行った。さらにサプライズで“講義”をお願いされ、3年1組の授業に飛び入り参加。あいさつ、質疑応答などで冷や汗を流しながら、教え子となった後輩たちに「開幕1軍」を約束した。

 「二神先生」が、慣れ親しんだ教室の戸を引いた。恥ずかしそうに教壇に立ったが、生徒からの質問には力強く返答した。目標は?

 「早くテレビに映れるように。開幕1軍です!」。堂々の決意表明だった。

 正月以来、10カ月ぶりの高知凱旋(がいせん)だ。法大野球部合宿所のある川崎市内から計6時間半かけて母校・高知高に“赴任”した。「毎日、練習した記憶しかない。特別な場所」。感慨にふけりながら、教頭先生にドラフト指名の報告を済ませて任務完了!

 と思いきや、学校関係者の計らいでサプライズ演出をお願いされた。

 場所は中村敏彦野球部長(53)が担任する3年1組。かつて3年2組だった先生自身も授業を受けていた教室だ。島田達二監督(37)が受け持つ国語の授業に飛び入り参加。運動部に所属する総合クラスの生徒31人が待っていた。うち野球部員は16人。同級生の弟もいた。新米先生の言葉も思わず熱がこもる。

 「自分はOBですが、大学4年間頑張ってプロに挑戦します。皆さんも3年生。夢と目標を持って、進路を進んで下さい!」。

 教室の黒板上には巨人選手のサインがズラリと並んでいたが関係ない。質疑応答を含め、15分間の熱血講義。生徒たちは虎のドラ1先生に熱視線を送り続けた。ただ、エールを送ったからには先生もハッスルしないといけない。授業後は土砂降りの雨をものともせず、野球部が練習する屋内練習場へ移動。ミーティングでは部員61人の前で「監督を信じて頑張れ。オレも新しい挑戦をします」とあらためて旅立ちの決意を語った。

 先生はわずか2泊3日で故郷に別れを告げ、再び法大グラウンドに戻る。「しっかり開幕1軍に入れたら、テレビとかで高知県の人にも見てもらえる」。そう“教え子”にも勇姿を見せる。二神先生が静かに燃えている。