<プロ野球ドラフト会議>◇27日

 最速157キロ右腕の東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)は巨人と日本ハムから1位指名を受け、抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得した。交渉権獲得後、日本ハムは菅野側との接触を試みたが、この日は連絡が取れず。菅野側は強行指名に態度を硬化させているとみられ、入団拒否の可能性も出てきた。

 昨年の佑ちゃん同様、抽選で今ドラフト最高の逸材を射止めた日本ハムだが、険しい道のりが待っていそうだ。交渉権の獲得直後から大学関係者とは連絡がつかず、即日行うつもりだった指名あいさつも断念した。山田GMは「簡単にはいかない。ここからが大変だと思う」と、入団交渉が難航することを覚悟した。

 即戦力投手が、欲しかった。今オフにはダルビッシュがポスティング移籍で退団する可能性があり、補強は先発投手が最優先。春の時点から菅野を1位指名候補として一本化していた。同GMは「潜在能力は素晴らしい。ボールも異常に速いし、変化球も多彩。一番いい投手にいこうと思っていた」。原監督とは血縁関係にあり、巨人は早い段階で1位指名を公言していたが、純粋に実力を高く評価。競合&交渉の難航は覚悟の上で、指名に踏み切った。

 事前に指名の意図を連絡せず、菅野サイドを混乱させたことは確かだが、それは球団の戦略上やむを得ないことだった。(1)入札の前から拒まれること(2)他球団への情報漏えい、を嫌ったため、秘密裏に準備を進めてきた。大渕スカウトディレクターは「取れる選手を取るのではなく、取りたい選手にいきたい。それがウチのやり方」と説明した。

 今日28日には、担当スカウトらがあいさつのために、東海大を訪れる予定。06年には巨人志望だった長野(当時日大)に入団を拒否されているが、山田GMは「誠意を示していくしかない。時間はかかるかもしれない」と、根気強く熱意を伝えていく方針だ。