日本ハム森本稀哲外野手(28)が12日、札幌市内の球団事務所で来季の契約更改交渉を行い、27%ダウンの年俸8000万円プラス出来高で更改した。今季、国内移籍が可能となる国内フリーエージェント(FA)権を取得。この日、行使せずに残留することを表明したが、大減俸となった。プロ11年目は故障などで不本意なシーズンに終わったが、来季の巻き返しを誓っていた。(金額は推定)

 ひょうきん者の表情は硬く、厳しかった。森本は今季取得した国内FA資格を行使しないことを明言した上で、来季の契約更改を済ませたことを明かした。3000万円ダウンの年俸8000万円提示に一発でサイン。「どんな条件を出されても残留と決めていました」と淡々と話した。

 リーグ優勝を果たしたチームで、さらにFA権を取得しながらの大減俸。「資格を取得したからと言って(金銭面で)上積みしないと言われたし、自分がいいパフォーマンスをしないと来年ファイターズに残れるか分からない、そういう厳しさを感じました」。個人成績、貢献度がしっかり反映された形だった。

 今季は107試合の出場で先発は86試合にとどまった。外野陣のライバル糸井の台頭があり、死球で昨季と同じ左手小指を骨折する不運で戦列を離れた時期もあった。両リーグ最多タイの43犠打は残したが、4年ぶりに規定打席に到達せず、盗塁も4年ぶり1ケタの9個。「物足りない部分があった」。

 プロ11年目で国内FA権をつかんだが、定位置だった中堅を糸井に奪われる形で左翼に挑戦した苦難のシーズンだった。来季の定位置争いに向け「ポジションのこだわりはあるけど、糸井くんという素晴らしい選手がいるし、与えられたポジションでいいパフォーマンスがしたい」と、静かな闘志を燃やしていた。

 島田チーム統轄本部長は「腐ってもおかしくない1年で、明るくやってくれたことはものすごく感謝。前々年くらい(成績を)戻してほしい」と期待した。木枯らし吹く札幌市内で会見を終えた森本の背中にも寒風が吹いていた。「1年間とにかく元気で動きたい。来年1年いいシーズンで終わらせたい」。悔しさを胸に秘め、勝負の来季に備える。